第75回 センター試験終了に対して感じること

今年1月19日。最期の大学入試センター試験が終了しました。
来年からは、新しい「共通テスト」なるものが実施されるようです。

新しい共通テストですが、概要が二転三転し、未だにはっきりしません。
まだ、変わるのではないのかと思いますので、ちょっと感じることを書いておきます。

センター試験が終わるけど…

今年で最後となりましたセンター試験ですが、そもそもセンター試験ってなんなのさという話から。

そもそも、センター試験って何さ

Wikipediaの内容を要約すると、大学入試センターが実施する、大学入試用の共通テストです。
東京大学を含む国立大学を受験する場合には、このセンター試験が1次テストとなり、
その後、各大学が行う2次試験を受験することになります。

センター試験の得点の配分は、大学によって決まっています。
センター試験の得点を重視する大学もあれば、自学の2次試験を重視する大学もあり、様々です。

しかし、1つ言えることは、国立大学を受験するためには、
センター試験を受験することが、絶対条件となります。

また、多くの私立大学の入試にも利用されており、センター試験の結果を使い、私立大学の受験をすることも可能です。

その他、センター試験の大きな特徴は、解答をマークシートで行うこと、
基本を問う問題が多く、実施される教科でも、高3で学習することが多い高度な教科は、実施されません。
具体例ととしては、センター試験で実施される数学は、「数学IA」、「数学IIB」だけで、「数学IIIC」は、実施されません。

センター試験が終わると

そんなセンター試験が、今年で終了したわけですが、では、来年からはどうなるのか。

それがビックリ玉手箱。何も変わりません
やはり、大学入試センターが、新しく「共通テスト」というものを始め、
今までのセンター試験と同様に、国立大学の1次試験として行われ、
センター試験と同様に、私立大学の受験にも利用できるようです。

解答方法もセンター試験で行われたマークシートを利用しての解答が、
新しい共通テストでも引き継がれることになります。

結局、パッと見、何も変わらないのが、今回のセンター試験終了問題です。

では、何を大騒ぎしているのでしょうか?

何が変わるのか

具体的に、何が変わるのか?というと、出題される問題の内容です。
今までは、知識を問う問題が中心に出題されていました。

しかし、今後は、その出題傾向を変え、しっかり読んで、
しっかり考えるという問題を出題していくことになるようです。

そして、頓挫してしまいましたが、数学や国語の問題では、解答方法にマークシートだけではなく、
記述式の解答方法を取り入れることも検討されました。

また、こちらも頓挫しましたが、英語4技能と称し、従来の「読む」、「聞く」に加え、
「書く」、「話す」を民間試験(英検等)を利用して評価するとことも検討されています。

結局・・・

外から見ると、何も変わらないのが、今回のセンター試験終了問題です。
センター試験と同じように、マークシート方式の問題を、同じ時期に、同じ主催者が行い、同じように各大学が利用します。

変わることは、出題傾向と名前のみです。出題の範囲が変わるわけでもありません。

これが、今回のセンター試験終了問題です。

問題はそこではない

しかし、よく考えてもらいたいのは、試験の出題傾向が変わることが、そんなに問題なのかと言うことです。
もっと言えば、名前を変えて、大々的にアピールするほどの大きな変化なのかと言うことです。

現在、高校入試は、大きく変わっています。
理由は、新しい共通テストを意識しているからだと考えられます。

しかし、それらの傾向の転換をアナウンスしている都道府県は、把握している限りではありません。
愛媛県も、昨年、微妙に変わりましたが、その辺りの告知はないですし、もちろん、今年もありません。

それでも、変わるときは、大きく変わるのです。
某県では、突然の傾向変更に、試験中に泣き出した受験生がいたとか、いないとか。

それでも、問題はなく、むしろ、それが普通であり、
突然変わったとしても、公正・公平が保たれれば、何も問題がありません。
それが、入試というものです。

もっと言えば、そもそもの話として、
傾向が変わったくらいで、得点が変わるような実力は、実力とは言えません
傾向を分析して、対策することを全否定するつもりはありませんが、
それが実力なのかは、それはまた違った話です。

傾向を変えるということは、そういった小手先のテクニックで点を取る人は、
欲しくないという主催者側のメッセージとも取ることができます。

センター試験が、国立大学の共通1次となっている以上、
国が、そういう人は学生としていらないというのであれば、そういうことで良いんです。
ただ、1つ気になるのは、国立大学は独立行政法人になっていること。すでに国立ではないので、そこまでの影響力を持っても良いのかと言うことは、議論の対象にすべきなのではないかと思いますが。

まぁ、それはそれとして、結局のところ、何が大問題になっているのかと言うことです。

そもそも、伝統あるセンター試験を終わらせてまで、何がしたいのか?
そこを大きく議論すべきだと考えます。

困るのは受験生ですが、しかし、受験生よりも、
結局、指導する「学校」や「塾・予備校」が困るのです。
受験生は、どんな問題が出ても、点数が採れるような、
確かな学力を身に着けることができるように、勉強すればいいだけです。

それを、本来の学問とは違う方向に、効率を求めた学習方法を指導してきた塾や予備校が、
指導方針の転換を求められ、パニクっているという状況でしょう。

最後に

外から見ていると、センター試験はセンター試験として、そのまま残し、
出題傾向を段階を追って、サイレント修正したので十分だったのではないのかと思います。
実際、高校入試は、現実にそうなっていますし、
近年のセンター試験は、新しい共通テストを意識した問題が年々増加していたようです。

であれば、「センター試験を終わらせます」なんてことを言わず、
数年かけて、センター試験の出題傾向を修正していけば良かったのではないでしょうか?

むしろ、高校入試のように、サイレントでガラッと変えて、受験生を泣かせてもよかったかもしれません。
みんなできないのであれば、そこに、公平性は保たれます。
問題にはなるでしょうが、大きな問題はないと考えます。

当然、センター試験のままでも、記述式の問題を採用することはできたでしょうし、
英語の民間試験導入に関しても、文科省の指導の下、
順次、大学ごとに、採用していけば良かったのではないかと思います。

結局、大風呂敷を広げすぎて、
マスコミや野党を中心に利権の絡んだ人たちの都合で、邪魔をされ、
収拾がつかなくなったのが今の状態ではないかと思います。
その結果、世間を混乱させ、受験生に大きな不安を植え付けただけになっているのではないでしょうか?

センター試験の出題傾向の変更の方向性は、支持しますし、今までが異常であったとも思います。
しかし、このような混乱を招くような方法は、支持できません。

センター試験を終了させると大風呂敷を広げて、世間にインパクトを与え、
話題を集めたまでは良かったのですが、
当然、話題になると、反対意見も目立つようになります。

その反対意見に対しての理論武装ができていないのに、
無理矢理、話を進めようとしたため、このような状況になっているのではないでしょうか?

2020年までに、センター試験の出題内容を大きく変更します。
記述式の問題を導入し、国立大学の入試には、英語の民間試験の導入も目指します。
とすれば、混乱も限定的で、反対意見も少なかったのではないかと思います。

結局、ただのパフォーマンスにすぎず、中身なんてない、騒ぐ必要もない話であるということです。

私企業であれば、炎上商法もやり方次第ですが、
国が税金を使って炎上商法をすると、陸なことにならないということが、よくわかる事例となってしまったようです。

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