「なんで勉強するの?」「こんな勉強して意味あるの?」というお約束の質問に答えられますか?
塾生も、よくしてきます。
一番、簡単な答えは、「えっ?!高校行きたくないの?」と返しておけば、まず、間違いありません。
しかし、これでは、芸がありません。以前、この質問の解答について、書きましたが、
今回、ちょっとした情報を教育開発出版さんから入手しましたので、お伝えします。
新傾向問題
2020年に、大学入試改革が行われることは、ニュース等でご存じだと思います。
ここは、中学生向き学習塾のHPなので、そのことについては、今回は、深く触れませんが、もうすぐ2017年。
改革目前と言っても過言ではありません。
さて、その大学入試改革に合わせて、また、次の学習指導要領の改訂に向けて、
全国的にみると、近年、公立高校の入試が変わってきているそうです。
つまり、今まであまり出題されてこなかった俗に言う「新傾向の問題」が
出題されているということです。
キーワードは活用
今までの、多くの問題は、「知識」を問う問題や「技能」を確かめる問題が中心でした。
しかし、現在、注目されている新傾向問題の共通点は、「活用」です。
例えば、お隣の広島県では、平成28年度に、自動車の停止距離の問題が出題されています。
ある程度スピードが出ている自動車は、止めようと考えてから、
実際に止まるまでに時間がかかります。
「車は急には止まれない」というやつです。
この車が止まれずに進んでしまう距離を停止距離と呼びます。
この問題では、この停止距離を求めることによって、
車間距離を何mに保てばよいかを考えることになります。
なお、広島県では、平成26年から「日常の会話から、数学的な疑問を感じ、調べてみた」という問題が
毎年2問ほど出題されています。
また、神奈川県では、英語の問題で、日常会話で使うような
クーポンや時刻表を使う問題が出題されています。
レストランのクーポンの問題では、「どれだけ割引してもらえるか」という
簡単な計算問題が出題されました。
クーポンが3種類あり、英語で使用条件が書かれています。
1000円引きのクーポンは、他の割引券との併用は不可。
200円引きのクーポンは1人200円引きで併用可、
300円引きのクーポンは1人だけ300円引きで併用可です。
4人で食事した場合、いくら割引してもらえるか?という問題でした。
日本語で書かれていても、一瞬、頭上に?マークが出てくる内容です。
つまり、その教科の知識そのものを問うのではなく、得た知識を現実的な場面で利用する、
つまり、活用し、問題を解決していく内容になっています。
class="spNone" しかも、広島県のブレーキの問題は理科との関係性が深く、
神奈川県のクーポンの問題は算数と深い関係があります。
現在注目されている新傾向問題では、その教科単独の問題ではなく、
他教科の横断的内容であることがわかります。
このような傾向は、高校の入試問題だけではなく、
毎年行われている全国学力・学習状況調査(B問題)にも見られています。
入試対策には教科の横断が必要
さて、こういった新傾向問題は、現実に起こりうるリアルな題材で、
よく考えれば、決して、意味不明でもなければ、難しい問題でもありません。
しかも、授業で習った内容が直接出題される訳ではありませんから、
普通に出題しても解けません。
ですから、授業で習った内容で解けるように、問題文で細かく解説されます。
つまり、裏を返せば、問題文がヒントだらけであると言うことです。
広島県の停止距離の問題に関しても、停止距離とは何か、
そして、停止距離には、制動距離と空走距離の2種類があり、
それぞれが、速度との間に、2次関数、1次関数の関係にあることが示されています。
ここまでのお膳立てをしてもらえれば、正直、難解な問題ではありません。
しかし、問題文が長くなるため、必然的に読解力が必要になります。
また、問題文をイメージする能力も必要になってくるでしょうし、
その場をイメージするためには、よく似た場を体験しておく必要もあるでしょう。
こういった内容は、その教科だけを勉強しても、上手くいきません。
前述の神奈川県のクーポン問題では、算数の知識と技能が必要ですし、
実際にクーポンを使ったことがあるという経験も必要でしょう。
「そもそも、割引って何?」とか言っていると解けるわけがありません。
また、広島県の停止距離の問題では、数学の問題でありながら、理科とも深い関係がありますし、
そもそも、車は急には止まれないということを知ってなければ、
何が何だかわからない問題になってしまうでしょう。
つまり、新傾向の問題を解くためには、その教科の知識だけではなく、
他教科の知識や、生活するうえでの経験が必要になってきます。
教科の横断と知識の活用に関しては、以前、書いています。
そちらも参考にしてもらえればと思います。
実は、実生活に大きく関係している中学校の学習内容
さて、このような、現実に起こりうるリアルな問題が入試に出題されると言うことは、
そもそも、中学校の学習内容は、実生活に根差したものであると言えます。
現実に起こりうる問題に、実は直結しており、
その問題解決の基礎となるのが、中学校の学習内容なのです。
「なんで勉強するの?」「こんなの勉強して役に立つの?」という問いが、
いかに愚問であるか分かると思います。
しかし、どうしても、学習内容が、入試対策、テスト対策になってしまうため、そのことに気がつかない、
また、気がつかせられる教員、保護者が多くないというのが現実だと思います。
しかし、現在注目されている、新傾向の問題が増えてくれば、入試対策がそのまま、
中学校の学習内容を実生活に落とし込むということになるので、
勉強する意味も、感じやすくなるのではないでしょうか?
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