第58回 変わる大学、変わる入試

2020年度から大学入試センター試験が廃止され、入試が変わることは、周知の事実です。
2020年度からのスタートですので、今年の新中学3年生からの変更になる予定です。

キーワードは「活用」からの「思考」

センター試験に変わる新しい入試のキーワードは、「活用」と「思考」です。
近年のセンター試験にも、その傾向が垣間見れるとか見れないとか。

センター試験では、今まで、とにかく知識を問う問題のみで、構成されていました。
したがって、勉強し、知識をふやせば、それで高得点がマークできる内容でした。

しかし、現在検討されている新しい入試では、知識と、問題文から与えられた情報をもとに、
考えて解答を導き出す問題に変わるそうです。

つまり、これからは、ただ知識を得るのではなく、
その知識を元に、考える練習をしなければいけなくなるということになります。

これは、第53回で紹介した、高校入試における新傾向問題と多くの共通点が挙げられます。
それは、当然の話で、
高校は、新大学入試に対応できる人材が欲しいので、当たり前の話です。

文理融合

今、国立大学で新学部設置などの学部再編ラッシュが進んでいます。
キーワードは、「文理融合」と「地域」で、教員養成や人文社会学系の学部の廃止や転換を進めています。

文部科学省から、教育学部と人文社会学系の学部と大学院に
「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組む」と
各大学に通知があったそうで、
現在、全86大学のうち26の大学が、
人文社会学系の学科の見直しを行っているようです。つまり、国をあげた大改革と言えます。

ご近所の愛媛大学でも、社会共創学部が新設されました。

その中でも、今までの文系、理系の垣根を越えた、新しい学問に注目が集まっているようです。

また、職種的にも、文系とか理系とか関係なくなってきています。
文系の代名詞ともいえる金融も、ITの進歩により、その姿を大きく変えようとしています。

教科の垣根なく

センター試験廃止に伴う大学入試改革の大きな注目ポイントは、教科間のボーダーレス化でしょう。

文理融合が注目を集めると言うことは、大学入試を含め、入試問題に、その影響がでると言うことです。

今後、考える力を問う問題が主流になるとするならば、幅広い知識は、考える材料として有効です。
もちろん、知らないがために、新しい発想が生まれることはありますが、
試験では、そのようなことは問わないでしょう。

幅広い知識とは、もちろん、その教科の内容だけではなく、その他教科の知識も含まれます。

第53回で、大学入試に合わせて、全国的にみると、高校入試が変わってきているという話をしました。
この話の中でも、新傾向問題に、教科間のボーダーレス化の傾向を示しました。

つまり、より教科間の関連性を意識して、学習に取り組んでく必要性が出てきたということになります。
教科間の関連性に関する内容は、第33回を参照してください。
これは、理科に1分野2分野の概念が無くなってきている点(詳しくはこちら)を考えても、納得できます。

要するに・・・

日本の最高峰である東大を含む国立大学を変え、
日本の教育そのものを抜本的に改革していくことになります。

今まで、幾度となく教育改革は行われてきましたが、
どれも、パッとしてないのが現状です。

その大きな理由の1つが、大学入試が変わらなかったからと言えるでしょう。
小中高の学習指導要領がどんなに変わっても、その先にある入試が変わらなければ、
上級学校への進学を1つの目的としてる中学校、高校の教育が変わるはずありません。

学習指導要領が変わっても、入試対策としての授業を変えることができないからです。

しかし、それを変えようとしている、文部科学省の本気が伝わってくる大改革です。
今年の新3年生から、この新しい入試を受けることになります。
最初の数年は、混乱のまま進んでいくでしょうが、
次の新2年生以降は、新入試の概要もわかり、早めの対策が必要となっていくでしょう。

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