第59回 どう乗り切る?2020年問題と2045年問題

2020年は、オリンピックイヤーですが、実は、それ以上に大きな問題があるのです。

教育改革とプログラミングの必修化

このコラムでも、2020年にセンター試験が廃止され、大学入試が大きく変わることは、
前回も含め、何度かお話ししました。

そして、それに前後して、学習指導要領が変わります。
学習指導要領とは、このコラムでも何度も登場してきましたが、
簡単に言うと、国が決めた学校で学習する内容です。

これが、大学入試の変更と同時期に、大きく変わります。

今まで、教育改革は幾度となく行われてきましたが、大きな変化をみることはできませんでした。
それは、入試が変わらないからです。

大学に合格するためにしなければいけないことが変わらないので、
高校で学習する内容が変わるはずがありません。
そして、高校が変わらないので、高校入試も大きな変化が見られません。
すると、中学校教育も変わりません。

上級学校に進学させることが、中学校や高校の役割の1つだからです。

そこで、今回、大学入試を大きく変え、高校教育、そして、中学校教育を変えようというのです。
センター試験の廃止と新しい学力テストの実施は、
教育改革への文科省の本気度をうかがうことができます。

そして、この学習指導要領の改定により、小学校でのプログラミングが必修化されます。

これが、大学入試を中心とした教育改革の1つなのか、
偶然の同時期での導入なのかわかりませんが、
2020年が、大きな節目になることは、間違いありません。

現在、中学校で、プログラミングの授業が行われていますが、
これが、小学校でも行われることになります。
時代の流れと来たる2045年問題への対応の一環であることは、間違いないでしょう。

2045年問題

ところで、AI(人工知能)の発達により、
2045年には、700万人以上の人がコンピュータに仕事を奪われるという試算があります。
例えば、現在開発中の自動運転の自動車が実用化されれば、
タクシーやトラックの運転手は必要なくなります。
このような事例がいたるところにあり、
一般事務員、会計士、箱詰めや積み下ろしなどの作業員など、
様々な職業が、機械に取って代わられると予測されています。

以前、工場などの機械化により、多くの人が仕事を失いました。
社会の教科書に、無人の工場の写真が掲載されていました。
機械化により、工場から人がいなくなった事例です。
それまで、工場とは、人がたくさん働いているイメージだったものが覆される写真でした。

700万人と言う数字はともかくとして、
機械化により、多くの人が仕事を失った過去の事例をみると、
たくさんの職業が機械に取って代わられるのは、
遅かれ速かれたどり着く未来であることは、想像に難しくありません。

雇用のミスマッチ

しかし、SE(システムエンジニア)など、新たな雇用を創出する部分もあり、
実際の雇用の減少は、200万人程度と試算されています。

それでも、200万人の人が仕事を失うのですから、大事件ではありますが、
仕事を失う700万人のうち、500万人には新しい仕事があるわけです。

しかし、新しい仕事がやりたい仕事か、
もっと言えば、こなすことができる仕事かということが問題になると予想されています。
俗に言う、雇用のミスマッチというやつです。

例えば、ただひたすら荷物を抱えて運ぶ毎日だった人が、
翌日から、荷物運びのロボットのメインコンピューターを管理をするということです。
本当に、できるでしょうか?

仮に、就職先があったとしても、その仕事をこなすことができるかは、別問題です。
要は、つぶしがきくかということです。

仮に仕事を失う700万人の中に入ってしまっても、
再就職先のある500万人に入れるかで大きく人生が変わることでしょう。

順序立てて考える力

プログラムの授業を受けたことがあるわけでもありませんし、
プログラムの専門家でもありません。
2045年問題に対応するために必要な知識が、
プログラミングかどうかもわかりません。

しかし、プログラミングが必修化するに当たり思うことがあります。

プログラムを記述するソフトや、言語は、時代とともに変化します。
そして、中学校で学習するプログラミングは、専用のプログラミングソフトを利用し、
C言語などの記述方法を学習するわけではありません。

しかし、それを記述する前のアルゴリズムは、不変です。
中学校の授業も、言語を使った記述方法ではなく、
アルゴリズムの学習をしているものと考えられます。

アルゴリズムとは、要は手順で、何をどのように作業するかを書きこんだ説明書です。
この手順書を元に、コンピューターは、作業を進めていくわけです。

この手順書をいかに作るかが、大きなポイントになってきます。

そして、この手順書をつくる基礎となる考え方は、間違いなく算数数学です。

中学校1年生で習う分配法則は良い例で、
どのような手順で計算すると、素早く計算ができるのか。
どう、公式を当てはめていくと、素早く簡単に計算することができるか。

こういう、ただ闇雲に計算するのではなく、
順序立ててより効率的に計算することは、数学の基本です。
数学はナルシストであるという話を書きましたが、美しさはともかくとして、
効率を求めるのは、プログラミングの基本です。

2045年問題を乗り切るカギがプログラミングにあるのであれば、
数学の基礎を固めておくことは、必要不可欠であると言えるでしょう。

また、順序立てて考える力は、
新大学入試や、新大学入試を見据えて変わってきている高校入試にも通じるものがあります

結論。しっかりと数学の勉強をしておきましょう。

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