今年4月から、小学校では、新学習指導要領への移行期間となります。
1番の注目は、英語の教科化だと思いますが、
大学入試センター試験の廃止に伴い新しく実施される新入試に伴う、
思考力についても注目が集まっています。
そこで今回は、この思考力をつける方法を考えます。
思考力とは
思考力とは、「考える力」です。
少なくとも、ここ30年ほど、教育とは、問題の解き方を教えることでした。
その方が、教える方も楽で、そして、即効性があるからです。
従来の入試やテストでは、知識の量を見定めるものがほとんどでした。
ですから、覚えておけば、それで点が取れました。
問題に対する答えを覚えておけば、それで点が取れるのです。
教える方も、問題と答えをセットで紹介し、「覚えてね」と言えば終わるので、教えるのも楽なのです。
しかし、今後はその手法では、対応できなくなってきます。
例えば、全国学力学習調査のB問題や県立中等教育学校の適性検査(入試問題)、
県の学力調査の問題が当てはまります。
また、県外では、公立高校の入試問題も、このような問題形式のものが導入されてきています。
愛媛県でも時間の問題と考えられます。
これらのテストで、満足できる点を取るためには、
知識はもちろん、その知識を活用し、考える力が必要になります。
思考力が必要な理由は?
さて、従来のテストから、このようなテストへ変わってきている理由はいくつかあるでしょうが、
その1つに、2045年問題があるのは間違いありません。(2045年問題についてはこちら)
近い将来、多くの仕事は機械(AI)に奪われ、
残る仕事は、機械にさせるのもバカらしい低賃金の単純作業か、
よりクリエイティブな、「繰り返し熟考し、解答を導き出す」という
「考える」仕事のどちらかになると言われています。
より人間的な充実した生活をおくるためには、今後、考える力はより必要になってきます。
現在、この未来予想図を深刻にとらえている人は少ない印象です。
しかし、日本の最高峰である「東大」を含む大学入試を大きく変えるという
大改革が行われるということは、文科省が、かなり深刻な問題として
とらえている証拠だと考えられます。
「思考力」がキーワードとして注目され始め、10年程たちますが、本格的に文科省が動き始めます。
この波に乗れるか、それとも、乗り損ねるかで、
大きく人生が変わることは間違いないと言えるでしょう。
思考力をつけるには
では、どうすれば良いのでしょうか?
まず、1番必要なのは、考えようとする態度です。
何かが起こったとき、それを解決するために人は考えます。
かの有名なブレーズ・パスカルは人のことを「考える葦」と表現しました。
人は考える生き物なのです。ですから、考えることは人としての基本です。
しかし、「考える」という発想がなければお話になりません。
わからないとき、困ったとき、それを解決するために、
まずは、考えるという癖をつけなければいけません。
「何をわかりきったことを…」と笑うかもしれません。
しかし、昨今の教育成果により、指示待ち症候群が増えています。
つまり、指示されたことはこなすけれども、
指示されていないことは、やらない、考えない人たちです。
工夫して、楽しようとも考えません。
良く言えば、「素直で良い子」なんですが、悪く言えば、「自分がない子」です。
賢明な保護者の皆さんは、多かれ少なかれ実感があると思います。
これでは、2045年、機械に指示を出すのではなく、
機械に指示を出される人になってしまいます。
まず、1番大切なことは、考えるという発想を身につけること。
つまり、考えれば、大抵のことは何とか解決できることを身をもって理解することです。
そうなれば、あとは、経験です。
考えることに慣れ、そして、経験から考える方法を学びます。
まずは、「わからない」とあきらめるのではなく、
わからないからこそ、しっかり考えるところから始めましょう。
きっと、解決できるのですから。
思考力を身につける3つの方法
それでは、S-Labが考える思考力を身につける3つの方法をご紹介します。
1. 予習はしないが、しっかり復習
まず、思考力を身につけるのに良い教科は、理数教科です。
学校の授業で、どんどん新しいことを習います。
理科ならば、実験を行い、考察し、そして学びます。
しかし、予習をしてしまうと、実験結果も知っている、何を習うかも知っているという状態になります。
授業内で、学校の先生がどんなに工夫した質問をしても、どんなに魅力的な授業をしても、
全て、「それ知ってるよ」となってしまいます。
理科だけでなく、数学でも同じことです。
これでは、考える場面がなくなり、考える癖がつきません。
また、考えるためには、十分な基礎知識と経験が必要です。
昨日学習したことは、完璧にこなせる。
しっかり把握しているということが、今日の授業で考えるために必要なことです。
つまり、考えるためには、復習が重要であるということです。
2. わからないなら考える
「わからない」と、あきらめるのは論外です。
所詮、小中学生のやることです。
どんなに難しいようでも、考えれば、大抵のことはなんとかなります。
今まで学習してきたことを総動員して、しっかり考えましょう。
しっかり考えれば、おのずと答えは見えてくるでしょう。
今、目の前にある問題は、あなたなら解決できると信じ、あなたに課されているのです。
考えれば、きっと解決できます。解決するまでじっくり考える癖をつけましょう。
ただし、制限時間がある場合は、優先順位をつけることを忘れないように。
3. 基礎基本の徹底と、難問に挑戦する心
考えるためには、その材料が必要です。
その材料とは、基礎基本とそれに伴う技能です。
基本的な計算はできるよ、文章は普通に読めるよ、コンパスだって分度器だって使いこなせるよ。
こんな基本ができて、初めて、新しいことに挑戦できます。
基礎基本の徹底のための問題演習は、必要不可欠です。
また、同時に積極的に、難問にも挑戦しましょう。
頭を使う難問は、考える癖をつける絶好のチャンスです。
その難問も、基礎基本が定着していれば、きっと解くことができます。
もし、解けなくても、考えたら考えたぶん、答えを知ったときに、「なるほど!」と心に残ります。
この経験がスキルとなり、血となり、肉となるのです。
また、しっかり考えたうえで、解けたときの爽快感は、癖になります。
思考力をつけさせる大人の接し方
さて、この発想を身につけさせるためには、大人がその発想を教え込む必要があると思います。
まずは、「わからない」とうったえる問題(こと)を、安易に教えないことです。
大人は子どもの疑問をすでに知っています。
ですから、答えや導き出し方を教えるのは簡単です。
しかし、それでは、自分で考えることは覚えず、
逆に、聞けば何でも教えてもらえると勘違いしてしまいます。
これでは、「自分で考える」という発想は身につきません。
むしろ、何も考えることなく、すぐに聞くようになるでしょう。
もちろん、それも重要な能力の1つですが、今後、より必要になる力は、この力ではありません。
ですから、質問を受けたとき、答えを教えるのではなく、一緒に考えてあげることが必要です。
一緒に考えることにより、考える見本を見せるとともに、考え方を教えます。
具体的には、ヒントや助言で、思考を誘導してやります。
そして、答えを導き出せたとき、答えを導き出したのは、自分自身であると錯覚させます。
そして、すかさず褒めましょう。
つまり、「考えたらわかるんだ」という成功体験を体に覚え込ませるのです。
最初は時間がかかりますが、とにかく、自己解決を促してください。
そして、必ず、最後まで見届けてください。
急がば回れと言います。回り道のようなことでも、実は、それが最速だったりします。
考える習慣をつけることと、考える方法を習得することが、
スロースタートにはなるかもしれませんが、今後の教育を楽にし、
そして、成績を上げる最善の方法だと考えます。
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