第11回 理数教科の予習は成績ダウンのもと?

今回は、理数系教科の予習をすると、成績が下がるもとになるかも?というお話です。

「えっ!?」と思う方もいらっしゃるでしょうし、「そらそうだ」と思う方もいらっしゃるでしょう。

まず、前提として、当塾の考える成績とは、
テストの点ではなく通知表の評価を指します。(参考:第1回第2回第3回)

もちろん、予習をすれば、テストの点は上がるでしょう。
しかし、テストの点の割に、成績が悪いという現象が起きてしまうかもしれません。

今回は、そんな話です。

通知表の成績の出し方(復習)

通知表の成績がどのように決まるか覚えていますか?
4つの観点別評価をもとに、評定が決まると、第2回でお話ししました。
その観点別評価をどのよう出すかは、第3回でお話ししました。

では、その観点別評価にどのような観点があったか覚えていますか?
これがそうです。


数学 理科
観点1 数学への関心・意欲・態度 自然事象への関心・意欲・態度
観点2 数学的な見方や考え方 理科学的な思考・表現
観点3 数学的な技能 観察・実験の技能
観点4 数量や図形などについての知識・理解 自然事象についての知識・理解
数学
観点1 数学への関心・意欲・態度
観点2 数学的な見方や考え方
観点3 数学的な技能
観点4 数量や図形などについての知識・理解
理科
観点1 自然事象への関心・意欲・態度
観点2 理科学的な思考・表現
観点3 観察・実験の技能
観点4 自然事象についての知識・理解

思い出していただけたでしょうか?

観点1に関しては、第2回で詳しく触れました。

今回は、観点2〜4について、簡単に見ていきたいと思います。

まず、観点4は、数学・理科ともに、知識・理解です。
適切な知識を習得し、それを理解し、使いこなせているかを評価します。

知識ですから、「知っている」か、「知らない」か、このどちらかです。
その知っていることを、理解して、使いこなせているかどうかなので、
とにかく、たくさん勉強して、たくさんのことを知って(覚えて)いれば、この観点の評価は上がります。

次に、観点3は、数学・理科ともに、技能です。
技能、つまり、技術です。
例えば、数学でしたら、コンパスを使って上手に円が描けるか、
理科でしたら、ガスバーナーを使えるか、
なんかが、あてはまるでしょうか?

きちんと扱うことができれば、評価は上がります。

技術を上げる。そのためには、練習あるのみです。
練習に練習を重ね、上達するしか道はありません。


さて、ここまでは、予習していた方が、成績が上がりそうですよね?
たぶん、それで間違いないでしょう。

考える力がポイント

しかし、観点2を見てみてください。

観点2は、数学が見方や考え方、理科が思考・表現となっています。

両方ともに、「」という字が入っていますね?
そう、観点2は、考えることができるかが、評価の対象です。

その考える過程として、数学では、「まず、物事を見て考える」、
理科は「考えて、表現する」と評価内容に追加項目があります。

理科は、考えたことをデータとして示すことが必要ですが、
数学は、示すことよりも、考えるためにどう受け止めるかがポイントになるということです。

さて、考えてみてください。
普通、こういうリストを作ったとき、大切な順に書きませんか?
つまり、成績を出すときの重みは同じだとしても、観点として大切なのは、
1番が、関心・意欲・態度、そして、2番目が考えることだと、文科省がいっているということです。
なんとなくわかりますよね?

さらに、考えてみてください。
観点1、3、4は、数学・理科でほぼ共通なのに対して、観点2は、数学と理科でちょっと違います。
これは、微妙な教科の違いがでているということです。
他の観点は同じでも、ここだけ違うということは、
それだけ、この観点が教科の核になっているということなんです。

実際、学習指導要領数学の部分には、「考察し表現する能力を培う」や「理解し用いる能力を培う」、
理科の部分には、「科学的な見方や考え方を養う」や「発見したり課題を解決したりする方法を習得させる」
という言葉が、何度も出てきます。

 
学習指導要領

考える力を伸ばすには?

さて、そんな教科の核になる観点2の評価を上げるためにはどうすれば良いか?

つまり、考える力を伸ばすためには、どうすれば良いか。

普通は、「しっかり、考えれば良い」と考えます。
つまり、「考える」ことを練習すれば良いのです。

そして、多くの中学校の先生も、そう考えています。

そこで、中学校の先生は、色々工夫をし、「いかに考えさすか」を考えます。

ある先生は、グループで話し合わせます。
また、ある先生は、考えるように、考えるように、誘導する質問を投げかけるでしょう。
とにかく、あの手、この手で、考えさせます。

予習すると?

しかし、予習をしているとどうでしょう?

「あっ!!これ、昨日予習したから知ってるゾ!」となりますよね?
グループで話し合っているとき、考えることなく、一瞬で、答えを言っちゃいますよね?

これで、考える力はつくでしょうか?

また、理科の実験で、この後どうなるか知っていたら、面白くないです。
「どうなるのかな?」としっかり予想を立てることが、考えることなんです。

その結果、「予想通り!!」となる。
または、「あれ?!思ってたのと違うゾ?!」となる。この過程が大切です。
特に、思っていたのとは違う場合、印象に残りますから、なお良いです。

小中学校でのこのような経験は、絶対に、一生を左右します。
考えるという行動は、絶対に、将来必要不可欠なものになるはずです。

もちろん、予習するときに、しっかり考えていれば良いのですが、
自学自習でそのようなことに意識的に取り組むことは難しいでしょう。

ですから、中学校の多くの数学・理科の先生は、「予習はしなくて良いです。」と言います。

やはり、1日に8時間ほどいる学校が、中学生にとって、一番大切な時間ですから。
学校の授業が、中学生にとって、一番大切な時間です。

ところで、もし、予習をしてきなさいという先生がいたら、
どのようなプロセスで、思考力を育てるつもりなのか、問い合わせてみたら良いです。

したがって、当塾では基本的に、予習は行いません。
また、復習の中でも、「考える」ことを重視して指導を行います。

ビビっときた方は、とりあえず、お問い合わせください。


学習指導要領・・・ 文科省が示す、学校で勉強する内容をまとめたもの。
これに則って、授業を行うことが法律で決まっている。
くわしくはこちら
これに違反したとして、問題になったのが、
2006年に発覚した高校の未履修問題

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