第91回 円安・ドル高・・・だから?

数年ぶりに、コラムを書いてみす。
サイちゃんブログで、ときどきお世話になっている嘉悦大学の高橋洋一教授が、
某テレビ番組で、「円安上等!」と発言したことに、
ひろゆきが「本当に学者か?」と噛みついたとネットを騒がせています。

と言うことで、円安・ドル高が良いことなのか、悪いことなのか、考えてみます。

社会科の先生でもないし、複雑な話をするとややこしいので、今回は、簡単に、日本とアメリカで考えてみます。

円安・ドル高・為替相場ってなに?

そもそも、円安・ドル高、為替相場って何?ということから。

日本で買い物をするときは、で、
アメリカで買い物をするときは、ドルで買い物をします。
もう少しわかりやすく言うと、日本で買い物をするときは、千円札、アメリカで買い物をするときは、1ドル札を使うということです。
では、日本人が、アメリカで買い物をしたいときは、どうすれば良いのでしょうか?

そうです、円をドルに変えてもらえば良いんですね。
これを「両替」と言います。

しかし、困ったことに、この両替の条件が、毎日変わるんです。
これを、為替相場と言います。

例えば、今日は1ドル札を貰うのに150円必要でしたが、昨日は140円でよかった。
こんなことが起こるわけです。

昨日は、140円で1ドル札が貰えたのに、今日は150円も必要だということになると、ちょっと面白くないですよね?
なので、ちょっと気にしないといけないよって話です。

さて、1ドル札を140円かけて交換してもらえた昨日と、150円必要だった今日では、
今日の方が、ドルが高いということになりますよね?
このように、ドルが高いことをドル高と言います。
逆に、今日よりも、昨日の方がドルが安いです。こういう状態をドル安と言います。

ここで、アメリカに目を向けてみます。
アメリカ人が日本で買い物をしたいとします。
昨日は、1ドル札で、140円しか貰えなかったのが、今日は、150円貰えるわけです。
昨日は買えなかった物も、今日なら買えます。
アメリカ人にとっては、今日の方がお得です。
昨日よりも今日の方が、円が安いということですね。
このように、アメリカ人から見たとき、円が安いことを円安。円が高いことを円高と言います。

ですから、円安とドル高は同時におき、円高とドル安は同時に起こります。
日本人ですから、円を中心に考えたくなりますが、
1ドルの値段が報道されるので、ドルが高いか安いかを判断して、
その逆から円が高いのか安いのかと考えた方がわかりやすいです。

つまり、1ドル=140円と1ドル=150円だと、1ドル=150円の方が、1ドル札が高いことがわかります。
したがって、ドル高。そこから、逆になるので、円安と考えると、わかりやすいです。
日本だから、直接円が高いのか安いのか考えたくなるかもしれませんが、
そこは我慢して、一旦、ドルが高いのか安いのかを考えた方が、わかりやすいです。

計算してみよう

では、以上を踏まえて、実際に計算してみましょう。

為替相場が、1ドル=100円だった場合。
5ドルの買い物をしたいと500円で買うことができます。

為替相場が、1ドル=150円だった場合。
5ドルの買い物をしたい場合、750円必要になります。

ちょっと嬉しくないですね。日本人的には、円高は困ります。

でも、アメリカ人目線で見ると、

相場が1ドル=100円だった場合、
5ドルで500円の買い物ができます。

相場が1ドル=150円だと
5ドルで750円分の買い物ができます。
円高の方がたくさん買い物ができて、アメリカ人は嬉しいということになります。

なので、日本人としては、円高の方が良いと思いますよね?

円安と円高どっちが良いの?

ですが、本当にそれだけでしょうか?

ここで、もう少し、視野を広げてみます。

円安の時、アメリカ人が、日本で買い物をすると、安く買い物ができます。
安く買い物ができるということは、浮いたお金で余分に買い物をしてくれるかもしれません。
あるいは、買うつもりのなかったものも買ってくれるかもしれません。
ということは、日本人にとっては、売り上げが上がるので、良いのではないでしょうか?

つまり、円安も悪くないと。

個人で買い物をすることを例にしていますが、もう少し視野を広げると、
アメリカで買い物をする=輸入
アメリカ人が日本で買い物をする=輸出
と言えます。

円安が進むと、輸入品は高くなるが、輸出品はたくさん売れる。
円高が進むと、輸入品は安くなるが、輸出品は売れなくなる。
とも言えるわけです。

表にまとめると次のようになります。

ドル

輸入

輸出 

円安

ドル高

不利

有利

円高

ドル安

有利

不利

どっちが良いと思いますか?
こういう話をすると、勘の良い中学生は、「あれ?どっちでも良くない?」と言います。
どちらが良いというわけではなく、どちらもメリットとデメリットを抱えているわけですね。

もうちょっと深く考えてみよう!

もう少し深く考えてみましょう。
日本の産業形態も加味して考えてみます。
最近、崩れつつありますが、それでも、日本の産業形態は加工貿易と呼ばれます。

これは、輸入した材料を加工して、付加価値をつけて輸出するというもの。

では、計算してみましょう。

5ドルの材料を仕入れて加工し、加工費300円を上乗せして販売する場合を考えます。

1ドル100円の時(円高・ドル安)
5ドル=500円となりますので、仕入れ値は500円。
そこに300円の加工費を上乗せして、800円で販売します。
800円=8ドルなので、8ドルで輸出することになります。

1ドル=150円の時(円安・ドル高)
5ドル=750円となりますので、仕入れ値は750円。
そこに300円の加工費を上乗せして、1050円で販売することになります。
国内向けの価格は大幅値上げとなります。
しかし、輸出するとなると、1050円=7ドルとなりますから、なんと、1ドルの値下げとなります。
こっそり、1ドル値上げして、8ドルのまま売っても良いし、7ドルに値下げして、その分多く売れることを期待するも良しです。

これは、どう考えても、円安の方が有利です。

一消費者としては、輸入品が安くなるから円高の方が良さそうに感じるかもしれませんが、
視野を広げ、国全体として考えると、円安の方が有利なようです。

日本の製品が売れなくなると、国としての収入が減って、買い物することが出来なくなります。

まとめ

中学校で習うことから順序立てて考えたら、簡単な話です。

一消費者として、スーパーの価格のみを見たら円安は困ります。
ただ、国全体として見れば、円安の方が有利です。

輸入品が高いのだから、なるべく国産のものを購入し、輸出に力を入れれば、
国内の仕事も増え、賃金も上向きになります。

皆ハッピーとなるはずです。
もちろん、輸入業者を中心にしわ寄せが来る人もいますが、
業種転換、新規事業等、時代の波に乗った経営で乗り切って欲しいです。

円安はまずいという人は、自分のことしか考えていない自己中人間か、視野が狭い残念な人ということになります。
冒頭の高橋洋一先生が言うには、
こういった円安(自国通貨安)で有利になるといった理論で、ノーベル賞をとった人がいるとか。

テレビを見ていると、円安がまずいと言っている人が多いようですが、
そんなことはなく、現状のチャンスを生かして、日本経済を盛り上げて欲しいところです。

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