全国学力・学習状況調査ネタ第2弾です。
今回は、全国学力・学習状況調査の結果を元に、
ここでも度々紹介している読解力に関して考えてみます。
新聞について
小学6年生の8%
今回の全国学力・学習状況調査で注目をあびているものの1つに、「新聞」があります。
この調査は毎年行われており、新聞を読む頻度を小中学生に聞いています。
その割合は年々減少しており、
H25年度は12.2%の小6生が毎日新聞を読んでいると答えていましたが、
10.1%、8.9%、9.0%、と減少し続け、今年29年度では、8.0%まで減少しています。
月に1回以上読む児童で考えても、H25年度の54.0%から、
49.6%、45.9%、45.4%と減少し続け、今年29年度では40.6%まで減少しています。
8%の小学6年生が毎日、20%以上の小学6年生が週1回以上、
4割以上の小学6年生が月1回以上、新聞を読んでいると答えています。
新聞は、難しいイメージがあるのかもしれませんが、
小学6年生が、十分に読むことができるメディアであることが理解できます。
中学生は5.5%
さて、中学生に目を向けると、こちらも、減少傾向が続いており、
毎日読む中3生は、調査を始めたH25年度が10.3%、
そこから8.2%、7.0%、6.7%と年々減少し、
今年29年度では、5.5%まで減っています。
月に1回以上読む生徒で考えても、H25年度の44.5%から、
40.6%、38.2%、36.3%と減少し続け、今年29年度では30.7%まで減少しています。
中学生も小学生も新聞離れが顕著ですが、これは、単純に読まないと言うこともあるでしょうが、
そもそも家に新聞が存在しないというのもあるでしょう。
新聞を購読していない家庭が増えてきています。
塾生に聞き取り調査をしたところ、
うちのような弱小塾では母数が少なくて、データとして役に立つのか分かりませんが、
新聞購読率は2〜3割となりました。
しかし、小学生と比べ、新聞を読んでいる生徒の数が少なすぎます。
いかに、中学生が忙しいかが良くわかるデータではないでしょうか?
読書について
読書の習慣についても調査が行われています。
まず、読書は好きですかという問いに、当てはまると答えた中学生は46.2%、小学生は49.1%でした。
しかし、その割合は調査が始まったH19年では、小学生45.5%、中学生43.5%だった「読書好き」の割合が、今年H29年度では、小学生では49.1%、中学生では46.2%とわずかずつではありますが、確実に増加しています。
また、実際にどのくらいの時間読書をしているかということで、
「学校の授業時間以外に、普段(月〜金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、読書をしますか(教科書や参考書、漫画や雑誌は除く)」という質問もしています。
結果は、2時間以上が小学生の6.9%、中学生の5.8%、1時間以上、2時間より少ないが小学生10.0%、中学生8.4%となっており高い数字とは言えません。
とりあえず、とにかく、少しは読むよという子どもたちで考えると、小学生は79.4%、中学生は64.6%となります。
読書がある程度、習慣化していることはわかりますが、じっくり読んでいないことは明らかです。
こちらは、年によって様々で、割合が高い年もあれば、少ない年もあり、
特に、減っている、増えていると評価しにくい状況になっています。
この結果から、子どもたちの読書への興味関心や、必要性は
少しずつ改善されていることがわかりますが、まだまだであることもわかります。
でも、これで良かったりもします。
読むことと学力
さて、これらの状況と、学力の関係が、公開されています。
結果は、当たり前すぎて、紹介する価値もないかもしれませんが、見て行きます。
まずは、読書が好きかどうかと学力の関係
明らか過ぎて、言葉がありません。好きこそものの上手なれと言いますが、
読書好きな子どもは、学力が高い傾向があるようです。
しかも、国語、数学(算数)は関係ありません。
次は、1日の読書時間と学力の関係です。
ただ読めば良いというわけではないようです。
ピークは、小学校、中学校、国語、数学(算数)を問わず、2時間以上ではありません。
小学校では、30分〜2時間程度、中学校にいたっては、10〜30分が、ベストなようです。
数字的には、ちょっと意外でした。
今年だけ、たまたまかもしれません。他の年も比べてみます。
とりあえず、平成28年の調査結果です。
やはり、ピークは2時間以上ではありません。
なにごとも、程々にと言うことでしょうか?
でも、言えることは、全く読まない児童・生徒の正答率が、どれでも低いことがわかります。
特に、国語は顕著です。
もう1つ、面白い調査結果があります。
「昼休みや放課後、学校が休みの日に、本(教科書や参考書、漫画や雑誌は除く)を読んだり、借りたりするために、学校図書館・学校図書室や地域の図書館にどれくらい行きますか」という問いがあります。
こちらも、ピークは週4回以上ではありません。
最後に、新聞を騒がせた「新聞を読む頻度と学力」の関係です。
一部例外を除き、新聞を読む頻度が高い子ほど、学力が高いことがわかります。
しかし、中学生の場合は、毎日読む生徒と週に1〜3回読んでいる生徒の正答率は、
ほぼ同水準であることもわかります。
また、小学生においても、毎日と週1〜3回の正答率の差は、他に比べて少ないことが分かります。
新聞は、毎日読むにこしたことはありませんが、
中学生においては、週に1〜3回程度読めば十分であり、
小学生においても、週1〜3回が1つの目安になることがわかります。
つまり、まずは、週末と祝祭日だけ読んだので、十分ということです。
ちょっと現実味がある数字ですね。
こちらも、全く読まない児童・生徒の正答率が、どの教科でも低いことがわかります。
文章を読むこと・慣れること
H28理科の入試問題の一部
文章を読むことの大切は、このコラムでも何度も紹介してきました。
入試問題を初めて見た塾生は、まず間違いなく、
「嘘でしょ?なにこの文字の量?!」と驚きます。
いかに、素早く正確に読みとることが大切かは、言うまでもありません。
そのためには、しっかり文章に慣れておくことが重要で、
その近道は、読むこと、そして、身近に感じておくことです。
今回の調査でも、それが表れています。
しかし、ただ闇雲に読めば良いということではないようです。
どの調査結果も、読みすぎは、学力を低下させる可能性があります。
これは、ある程度の読書時間が確保できれば、
それ以上は、読書する時間があるのならば、勉強しなさいということだと思います。
そして、以前、第48回で考察した、
「読書は成績を上げるが、どこかで頭打ちに合う」ということを
証明しているとも言えます。
まず、慣れるために重要なのは、身近に本や新聞があること。
視界に入ってもストレスにならないよう慣れておくことです。
読む、読まないはとりあえず置いておいて、
家に新聞や本が日常的に部屋に置いてあることです。
まずは、そこからのような気がしてなりません。
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