先日、林先生が驚く初耳学で中室牧子先生を迎えて、
読書量と成績は、因果関係なのか、それとも、相関関係なのかという話がありました。
結局、結論を言わず、まるで、読書をしても成績は上がらないかのような話で終わってしまいました。
ちょっと気になったので書いてみます。
中室牧子先生の著書
相関関係と因果関係
相関関係とは、書いて字のごとく、お互いに関係があるということです。
理科の世界では、「この2つのデータには相関がある」とか言います。
次に、因果関係とは、原因があり、その原因による結果がある場合を言います。
池田先生の著書
この相関関係と因果関係に関しては、ホンマでっか!?TVで池田先生が、
次のように、上手に例えられていました。
適度な飲酒は、健康に良いとされています。
実際、適度な飲酒をしている人は、健康であるというデータも出ています。
しかし、この結果は、酒を飲むから健康になると言えるのか、
それとも、酒を飲むためには、そもそも健康でなくてはいけないのかデータだけではわかりません。
つまり、酒を飲む(原因)から健康になった(結果)場合、これらの関係を因果関係と呼び、酒を飲めるということは、そもそも健康である場合、これらの関係は相関関係と呼ばれます。
適度な飲酒をする人は、健康であるという関係はあるのですが、
飲酒をするから健康であるとは、言い切れないわけです。
これを言い切ることができれば、因果関係となるわけです。
読書も同じで、読書をするから成績がUPするのか(因果関係)、
単純に、読書をする人は、成績が良い人なのか(相関関係)は、わからないとのことでした。
勉強のやり方と成績の出し方
さて、こうなってくると、読書量と成績は本当にただの相関関係なのか、
それとも、因果関係があるのか気になるところです。
データを取ることはできないので、ただの考察になりますが、考えてみましょう。
まず、一般的に、勉強をどのように行い、成績をどのように出すのかを考えます。
勉強は、学校で授業を受け、家で本(教科書や参考書・問題集)を使って勉強します。
もちろん、学校の授業も本(教科書)を使って学習します。
教員によっては、教科書を一切使わない人もいますが、家で学習するときは、
何らかの本を使うことになるでしょう。
つまり、本を読んで、勉強することになります。
前回も書きましたが、本を使って情報を入手するのは時代遅れという考え方もあると思います。
しかし、すくなくとも現在の教育業界は、教科書を無料で配布し(義務教育)、
それを使って学習する方式をとっています。
これが、変わる予定は無いですし、当分変わることはないでしょう。
次に、成績の出し方です。
H28理科の入試問題の一部
一般に成績の大部分を占めるのは、中学生の場合、定期テストの結果です。
定期テストは、当たり前ですが、普通、ペーパーテストです。
ペーパーテストには、問題文が書いてあり、その問題文を読んで回答します。
例えば、どんなに理科が得意でも、文字が読めなければ、
テストで点は取れません。
つまり、極端な話をすると、テストの内容は小学校レベルの理科のテストでも、ハングル文字で出題される韓国のテストで、日本の中学生が高得点を出すのは、ほぼ不可能であるということです。
当たり前ですが。
しかし、これを日本語で置き換えても、同じことが起こります。
漢字が読めなかったとか、問題文をとんでもない勘違いをして読んでしまったとか・・・
その結果、解けていたはずの問題を落としてしまった。という経験があるのではないでしょうか?
事実、問題を説明してあげると、すらすら解ける子でも、テストなどで同じ問題が、
文章として出題されると、解けません。
そして、「わからない」というので問題文を一緒に読んで、解説すると、
「なんだ簡単やん」と言って、すらすら解きます。
これは、明らかに、文章読解力の欠如によるものです。
こうやって解いた(解けなかった)テストで成績をつけられるのです。
本が読めて、スタートライン
つまり、勉強をするにも、本を読む。
成績を測定するときにも、文章を読む。
これが、日本の現状です。
本を読む、そして、文章を読むことが、日本の成績(学力)の根幹になっています。
それが良いことなのか、悪いことなのか、そんなことはわかりませんが、これが、現状です。
本を読むこと、文章を読むことのスキルがあって、初めて、スタートラインに立つことができるのです。
仮に、本を読むこと、文章を読むことが苦手であれば、
もう、自動的に勉強も苦手になり、テストも苦手になってしまうことでしょう。
これで、好成績を出すことは、ほぼ不可能です。
逆に、本を読むこと、文章を読むことに抵抗がなければ、
勉強する時も、テストを受けるときも、後は、教科との相性だけになります。
本を読むこと、文章を読むことに抵抗をなくすためには、慣れることが一番です。
普段から、本、そして、文章に触れておくことです。
つまり、読書をして、本や文章に慣れることです。
そして、ある程度、本や文章に慣れれば、あとは、教科の勉強量で、成績が決まります。
読書と成績は因果関係?それともただの相関関係?
と言うことで、読書をすればするほど、成績が上がるということに関しての
因果関係があるかどうかはわかりませんが、
読書をある程度しないと、成績は出ないということは確実です。
従来、普通に過ごしていれば、
最低限度の読書量(マンガ含む)と文章読解力は、キープできていたのですが、
最近の中学生は、マンガすら読まない子が多く、文章読解力に疑問を感じます。
詳しくは、前回を参照。
実際、ちょっと長い問題文になると、読むのを止めてしまい、
非常に簡単な問題でも解かない中学生は非常に多いです。
これは、非常にもったいない。
従って、成績下位では、読書量と成績には、確実に因果関係があります。
しかし、成績上位に関しては、因果関係は、なんとも言えないというのが結論です。
実際、今回の初耳学でも、東大に合格するとか、そんなことを同時に言っていたので、
成績上位層では、読書量と成績の因果関係があるとは言えないという話だったんでしょう。
しかし、TVを見ている人が、皆、東大を目指しているわけではなく、視聴者のほとんどは、凡人です。
凡人は、しっかり読書をしておかないと、成績が伸び悩む可能性が高いと考えられます。
最近の風潮として、読書をしても成績とは関係ないという流れになってきている印象を受けます。
しかし、しっかりと読み込んだ後は、比較的早い段階で頭打ちになると言うだけで、
しっかりと読み込んでいない場合は、
読書量と成績には、因果関係がある可能性が高いことをきちんと前置きしておくべきだと思います。
「初耳学で、成績と読書量に因果関係がないと言っていたから、読書はしなくても良い」というのは、明らかに間違いです。
スマホばかりいじっていないで、しっかりと、本を読んで、
本や文章に慣れることが、成績向上の第1歩であることは間違いないです。
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