第16回 インフルエンザ対策と湿度〜その2〜

暖冬とはいえ、10年に1度とかいう寒波に見舞われ、インフルエンザが気になる季節になってきました。
インフルエンザ対策には、湿度を保つのが一番と言われています。

夏の熱中症対策も含め、湿度計が普及してきたとはいえ、
湿度計がないご家庭も多いのではないかと思います。

そこで、前回に引き続き、湿度計がなくても、
気温のみから、加湿器の必要性を考える方法を考えてみたいと思います。

なお、当塾では、教室に乾湿計を設置していますので、
いつでも、湿度の確認ができると同時に、入試対策ができるようになっています。
乾湿計で湿度を求める問題はよく出ます。


講義室の乾湿計

湿度とはなにか?を前回お話ししました。
細かいことはそちらを見ていただくとして、
今回のポイントは、気温差と飽和水蒸気量になります。

湿度の計算方法は、前回お伝えした通り、次の通り。

湿度(%)= 現在の水蒸気量(g/m3) ×100
飽和水蒸気量(g/m3)

ポイントは、気温によって、飽和水蒸気量が変化するということです。

その飽和水蒸気量と気温との関係は、こちら

適切な湿度は?

さて、本題です。
まずは、湿度を保つと言っても、何%くらいで部屋の湿度を維持すれば良いのかということですが、
厚労省のHPを見ると、

(4) 適度な湿度の保持

 空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。
特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50〜60%)を保つことも効果的です。

とあります。

インフルエンザ対策として、湿度を保つ理由は諸説あるので、なんとも言えませんが、
今回は、この厚労省のデータを参考にして考えていきます。
その他の、インフルエンザ対策と湿度に関しては、こちらが興味深く、判りやすかったです。
興味のある方、参考にしてみてください。

湿度のコントロール

ところで、湿度は、現在の水蒸気量と、飽和水蒸気量で決まります。

したがって、湿度をコントロールするということは、
現在の水蒸気量をコントロールするか、
飽和水蒸気量をコントロールするか、
あるいは、その両方をコントロールすることになります。

えっ?!飽和水蒸気量ってコントロールできるの?と思うかもしれませんが、
飽和水蒸気量は気温で決まるので、気温をコントロールすることで、
飽和水蒸気量をコントロールすることができます。

湿度の求め方(1)

それでは、前置きはこのくらいにして、気温のみから、
加湿器の必要性を考えてみたいと思います。

方法は、大きく分けて2つあります。

1つ目は、換気したときの外気温をもとに考察する方法です。

水槽でも置いていると話は別ですが、キッチンやトイレを除くと、普通、部屋に水はありません。
つまり、空気中に水蒸気が補給されることはないということになります。

したがって、換気したときの水蒸気量から大きく変化しないということになります。

つまり、喚起した外気温が10℃だとすると、飽和水蒸気量は9.14g/m3ですから、
換気した空気に、それ以上の水蒸気が含まれていることはありえないわけです。

仮に暖房で20℃まで上げたとすると、湿度は最大で54%となります。
以下の表が、換気時の気温と、室温を15℃、20℃、25℃まで上げた時の湿度の表です。

外気温 15℃ 20℃ 25℃
0 38 28 21
2 44 32 24
4 50 37 28
6 57 42 31
8 65 48 36
9 69 51 38
10 74 54 41
12 84 62 46
13 89 66 49
14 95 70 52
15 100 74 55
17 - 84 63
19 - 94 71
20 - 100 75
21 - - 80
23 - - 89
25 - - 100


50%を基準にすると、ザックリいうと、換気時の気温よりも、
暖房で10℃気温を上げると、アウトと言うことになります。

その他、細かく見たい方は、外気温と湿度を設定すると、計算できます。

外気温 室温    湿度

もちろん、これは、換気した空気の水蒸気量がその時の飽和水蒸気量だった場合の湿度です。
実際は、もっと少ないはずです。
逆に、部屋に水気がないといっても、壁や床、天井などに含まれていたり、
化石燃料を燃やした場合は、水が発生しますので、その限りではありません。

湿度の求め方(2)

2つ目は、窓の結露の状態を見て判断する方法です。

基本的考え方は1つ目と同じです。

窓は、外気と触れています。ですので、窓は、外気と同じ温度になるとします。

すると、暖房により温めた部屋の空気は、窓の近くで急激に冷やされ、外気と近い温度になります。

仮に、室温を20℃まで上げたとすると、湿度を50%に保つとき、
室内の水蒸気量は、8.7g/m3となります。
その時、外気が8℃だったとすると、8℃の飽和水蒸気量は8.3g/m3ですので、
窓が結露するはずです。

もし、室温20℃、外気8℃以下の時、結露していなければアウトとなります。

これを室温を15℃、20℃、25℃で、各湿度のとき、結露する外気温を表にしてみます。

15℃ 20℃ 25℃
70% 9℃ 14℃ 18℃
60% 6℃ 11℃ 16℃
50% 4℃ 8℃ 13℃
40% 0℃ 5℃ 9℃


外気温が表の温度以下で結露しない場合は、湿度が足りていないことになります。

暖房を15℃にするのであれば、冷蔵庫の温度が約4℃ですから、
冷蔵庫からペットボトルか何かを出して、結露すれば、湿度は50%以上と言えます。

その他、同じ要領で、単純に水槽(ペットボトルに水でも可)を置いておき、
結露した場合、その水温を測れば、湿度が何%以上かわかります。
逆に、結露しなかった場合、湿度が何%以下かわかります。

下に計算機をつけます。

外気温(水温) 室温    
結露している 湿度 以上
結露していない 以下

つまり

結論です。
冬は、乾燥すると言っても、朝晩に露や霜が降りるということは、
その時は、湿度が100%になっているということです。
つまり、朝晩の湿度は100%に近いと考えられます。

暖房をつけなかったり、暖房を抑えると、もちろん湿度は高くなります。
湿度のコントロールは、水蒸気量のコントロールだけではなく、気温のコントロールでも可能です。

換気は、なるべく気温の高い日中に行いましょう。
気温の下がった夜に換気を行う場合は、湿度に注意が必要。

暖房による温度上昇は、およそ10℃がポイントになります。
外気温よりも、10℃以上温度を上げるときは、加湿器の利用を検討してください。
また、窓の様子にも注意してください。

朝、露や霜が降りていない場合は、
その日の最低気温でも露点に達しなかったということなので、
空気がカラカラだと考えられます。加湿器を利用しましょう。

逆に、外気との気温差があまりない(5℃程度)のに、
結露している場合(雨の日など)は、加湿器は必要ありません。

以上をもとに、加湿器の必要性を考えてみてください。

そもそも、結露を嫌う人がいますが、外気温との温度差が10度以上あるのに結露しないのは、
空気がカラカラという証拠ですので、注意してください

とは言っても、湿度計は、1000円程度なので、購入を検討するのが一番かもしれません。

理科の授業で習う乾湿計
これがあれば、入試対策もバッチリ?
一目でわかるデジタル湿度計


最近は、時計にも湿度計がついてます。

※化石燃料を燃やした場合は、水が発生します・・・有機物を燃やすと、二酸化炭素と水が発生する。
中学1年生の教科書に載っている内容ですが、あまり知られていない感じがします。
入試にも実力テストにもでないので、生徒でも覚えていない子が多い。

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