今回は、入試ではなく、遺伝の法則と血液型についてです。
メンデルの実験
メンデル
(1822-1884)
理科の時間に勉強するメンデルの法則。
その昔、オーストリアの修道士グレゴール・ヨハン・メンデルが発見した遺伝に関する法則。
発見者のメンデルの名前を取って、メンデルの法則と呼ばれています。
メンデルは、しわのある種子とない丸い種子ができるエンドウを交配させ、
できるエンドウの種子を観察しました。
すると、全てのエンドウの種子は、丸かったのです。
メンデルはさらに実験を重ね、このしわのある種子とない丸い種子の
子どもにあたるエンドウを自家受粉させ、
もとのエンドウたちの孫にあたるエンドウの種子を観察しました。
すると、不思議なことに、丸の種子から、しわのある種子ができたのです。
しかも、その割合は、何度実験を行っても、1:4になったのです。
このことから、メンデルは、丸い種子のなかにもしわのある種子の遺伝子が
入り込んでいるのではないかと考えました。
このとき、発現する丸い形質を優性の形質、しわの形質を劣性の形質と呼びます。
詳しくは、教科書を見ましょう。中学3年の理科です。
ヒトの血液型と遺伝子
さて、ヒトの遺伝子で、一番わかりやすいのは、血液型を決定する遺伝子です。
ヒトの血液型を決定する遺伝子には、A型、B型、O型の3つあります。
あれ?AB型は?と思った方、それをこれから説明します。
あくまでも、ヒトの血液型を決定する遺伝子が3種類ということです。
生物の遺伝子は、2つでワンセットです。つまり、この3種類の中の2つが私たちの体の中にあるということになります。
例えば、A型の遺伝子とA型の遺伝子、A型の遺伝子とO型の遺伝子・・・・といった具合です。
このように考えていくと、人の血液型を決定する遺伝子の組み合わせは、次のようになります。
- A型とA型
- A型とB型
- A型とO型
- B型とB型
- B型とO型
- O型とO型
ところで話は変わりますが、献血に行くと、血液型の簡易検査を目の前で行ってくれます。
ABO方式の血液型の分類は、カール・ラントシュタイナーにより発見された、最も古い血液型の分類方法だそうで、
A型の遺伝子を持っていると、A抗原という抗原が発現し、
B型の遺伝子を持っていると、B抗原という抗原が発現します。
この検査は、いたって簡単で、2種類の試薬の入った試験管にそれぞれ血液を数滴たらすだけ。
試薬Aで変化が起こった場合は、A抗原を持っている、
試薬Bに変化が起こった場合は、B抗原を持っている、と判断されます。
仮に、Aのみで変化が起こった場合は、A型と判断され、Bのみで変化が起こった場合は、B型と判断されます。
両方ともに反応がない場合は、ないよってことで、0(ゼロ)型※1つまりO型となります。
そして、両方ともに反応があった場合、AB型と判断されるわけです。
こんな実験を目の前でしてくれるわけですから※2、これは、一見の価値ありです。
せめて1度は献血に行きましょう。
ちなみに、2回目からは、献血手帳があるので、してくれません。
ヒトの血液型と遺伝の法則
さて、このようにしてヒトの血液型は決まるのですが、勘のいい人は、気づいていると思います。
A型とB型は優性ですが、O型は劣性の形質ということになります。
抗原があればA型やB型になるので、O型の遺伝子を持っていても、
同時にA型やB型の遺伝子を持っていると、そちらの抗原が反応してしまい、
O型のないというのは、簡易検査では判断できません。
つまり、遺伝子の組み合わせは、上記の6通りあるのですが、
実際に目に見える血液型は、以下のように4通りになります。
- A型とA型・・・・AA型・・・文句なしのA型
- A型とB型・・・・AB型
- A型とO型・・・・AO型・・・Oが劣性のためA型
- B型とB型・・・・BB型・・・文句なしのB型
- B型とO型・・・・BO型・・・Oが劣性のためB型
- O型とO型・・・・OO型・・・文句なしのO型
そのため、単純に考えると、A型やB型よりも、AB型やO型の方が珍しい血液型と言えます。
まぁ、そう単純なものでもないんですが・・・
では、実際に血液型をメンデルの法則に当てはめていきたいと思います。
(1) まずは、O型の父とAB型の母の子どもを考えます。
父がAA型の場合
50%の確率でA型とB型の
どちらかが生まれる
かならず、O型の遺伝子を受け継いだA型またはB型の子どもが生まれます。
(2) 次にA型の父とO型の母の子どもを考えます。
母のO型は、OO型の1種類しかないのですが、
父のA型には、AA型とAO型の2種類がありますので、場合分けが必要です。
父が AA型の場合
どのパターンでも
A型が生まれる
父が AO型の場合
50%の確率でA型とO型の
どちらかが生まれる
O型の子どもが生まれた場合、父の血液型は、AO型であることがわかります。
また、子どもの血液型がA型だった場合、かならず、AO型になります。
(3) AB型の父とB型の母
こちらも、母のB型の場合分けが必要になります。
母が BB型の場合
50%の確率でAB型とB型の
どちらかが生まれる
母が BO型の場合
25%ずつの確率でA型、AB型が、
50%の確率でB型が生まれる
O型が生まれることはありません。
A型の子どもが生まれた場合、母の血液型がBO型であることがわかります。
なんか、面白くなってきたでしょ?
(4) 最後は、A型の父とB型の母の子どもを考えます。
これは、場合分けが面倒ですが、1つ1つ考えていきます。
まずは、母がBB型の場合は2通り
父が AA型の場合
どのパターンでも
AB型が生まれる
父が AO型の場合
50%の確率でAB型とB型の
どちらかが生まれる
母がBO型の場合もやはり2通り
父が AA型の場合
50%の確率でAB型とA型の
どちらかが生まれる
父が AO型の場合
等しい確率で全ての血液型の
子どもが生まれる
O型の子どもが生まれた場合、父、母ともに、O型の遺伝子を持っていることがわかる。
A型の子どもが生まれた場合。母は、必ずO型の遺伝子を持っている。
B型の子どもが生まれた場合。父は、必ずO型の遺伝子を持っている。
どの血液型が生まれても、子どもの遺伝子は2種類とも決定する。
まだまだいろんな組み合わせが考えられますが、あとは、自分で考えてみましょう。
さて、気が付いた人もいると思いますが、
O型の遺伝子を持っていることを証明するのは、上記のように考えると、比較的簡単なんですが、
AA型であること、BB型であることを、血縁関係から証明することは、ほぼ不可能です。
これが、メンデルの法則なんです。
あれ?と思ったあなた
それと、こんなことを考えていると、
「あれ?オレもしかして橋の下で拾われた?」とか思うこともあるかもしれませんが、
世の中には、ごくまれに、シスA型とか、亜型A型とかと呼ばれる、
試薬に反応しないA型やB型もあるようです。
試薬に反応しないため、A型やB型の遺伝子を持っていても、その人たちは、O型と判断されてしまいます。
10年くらい前に、「科捜研の女」などで、この亜型A型をテーマにしたドラマが数本作られました。
ですので、無条件に悲観するのは、止めましょう。
あなたのご両親や、あなた自身がこういった特殊な血液型である可能性もあります。
※1・・・ドイツ語の「ohne」(「 - ない」などの意味)の頭文字という説のほうが有力のようです。
※2・・・10年以上前の情報なので、今もしてくれるかどうかはわかりません。
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