第13回 どんどん増える元素記号

化学屋にとって、とんでもないビッグニュースが飛び込んできました。

原子番号113番の原子ウンウントリウム(仮)の命名権を理研が得られたというのです。

我が塾も、サイエンスラボを名乗る以上、触れずにはいられないビッグニュースです。

原子って何?

原子とは、中学校2年生の教科書には、
それ以上分解することのできない最小単位」とあります。

しかし、同じく3年生の教科書には、さらに細分化された図が登場します。

何が、正しいのか・・・??

 

さて、私たちを含め、この地球上にある物質は、原子という小さい粒の集合体です。
あなたも、そしてあなたが今触っているパソコン(スマホかな?)も原子の集合体です。

そしてその原子は、原子核とマイナスの電気を持つ電子から成り立っています。


ヘリウム原子のモデル

図のように、原子核の周りを電子がまわっていることになっています。

ところで、この様子が、ちょうど、太陽の周りを回る惑星のように見えるので、
現在、人類が見ることができる最大のものと、最小のものが、同じつくりになっているのは、面白いよね。
と生徒たちには話します。

さて、話がそれましたが、、原子核は、さらに、中性子と呼ばれる電気的に中性の粒と、
+の電気を持っている陽子と呼ばれる粒から成り立っています。

これが原子です。

原子は1種なの?

では、原子とは、1種類なのか?もちろん、そんなことはありません。
原子は、100種類以上存在しています。
その100種類の原子の組み合わせで、物質が決まるのです。

今回、その113番目の元素の命名権が日本の研究機関「理研」に与えられました。

では、それぞれの元素の違いは何か?
実は、陽子の数なんです。

陽子の数が1つなら水素、2つならヘリウム・・・・という具合に、決まっています。

それをわかりやすくメンデレーエフという人が表にまとめたものが、下の表です。
周期表とか周期律表と呼ばれています。

周期表
H                                 He
Li Be                     B O C N F Ne
Na Mg                     Al Si P S Cl Ar
K Ca Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
Rb Sr Y Zf Nb Mo Tc Ru Rn Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe
Cs Ba La Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Ti Pb Bi Po At Rn
Fr Ra Ac Rf Db Sg Bh Hs Mt Ds Rg Cn   Fl   Lv    
赤のところが、今回命名権を得られた元素
ランタノイドとアクチノイドは割愛

ですので、理屈としては、原子核の陽子の数で原子の種類が決まるのですから、
発見もクソもないんです。そういう原子があることは、わかってるんです。

しかし、様々な条件のもとで、陽子の数が増えれば増えるほど、
この世で存在できなくなるんです。

原子核のなかにある陽子は、+の電気を帯びています。
磁石と同じで、+の電気と−の電気は引き付け合いますが、
+と+、−と−では、反発しあいます。

原子核は、この+の電気の粒の集合体。反発しあうのです。
反発しあう粒たちの集合体なので、陽子が増えれば増えるほど原子核として形を保つのは難しくなるのです。

人と同じで、仲の悪い人でグループを作っても、すぐにグループは崩壊します。
人数の多いグループになればなおさらです。

今回話題になっている113番目の原子も、形を保つのは難しく、
ほんの一瞬(1秒未満?)でなくなってしまいます。

なので、原子番号が大きい原子の発見は難しいのです。

しかし、同時に、そんな一瞬でなくなる原子の存在の確認に、
多額の費用と時間を費やすことに意味はあるのか?とも思います。

しかし、そこはロマンでしょうね。こういう話には、ロマンを感じます。

それにしても、ほんの15年ほど前は106番までしか載っていなかったのですが、
今では、115番まで・・・
覚える数が増え続けますね。

どんな名前がつくのだろう?

さて、名前の候補は、「ジャポニウム」、「リケニウム」などがあるそうです。
ジャポニウムになれば、元素記号がJpとなり、周期表に初めてが登場するというおまけがつきます。
しかし、理研としては、理研からとった「リケニウム」と名前をつけたいという話もあるそうです。

今のところ、「名前の候補はなく(←100%ウソ)、あっても言わない(←コッチが本音)」そうですが、
命名権を得た理研がどのような名前をつけるのか楽しみですね。
実際に命名されるのは、1年後とのことですが、
いずれにしても、日本初は当然として、アジア初の快挙となり、色々な意味で、今後の動きに注目です。

2016.6.9追記
名前の候補がニホニウムに(原子記号:Nh)に決定したそうです。個人的にはパッとしません。

参考サイト:wikipedia

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