先日、ある塾生が、「先生、体積を求めるときのかける順番ってどうだっけ?」と。
中学校の教員免許しかもっていない自分としては、どうでも良いんじゃないの?と思うのですが、
そうは言っていられないようです。
塾生曰く、以前、危うく0点になりかけたんだとか。
そういえば、以前紹介した『「3.9+5.1=9.0」と書いたら、減点された』という話と
同等に奇習として議論されている内容です。
体積の求め方
そもそも、体積の求め方は、どうやるのか?
小学校で体積を求める方法を習う立体は、立方体と直方体とそれらを組み合わせた立体です。
それぞれの体積の求め方を調べてみると、
直方体:縦×横×高さ
立方体:1辺×1辺×1辺
と書いています。
例えば、次の図のような直方体の場合、
図1
縦の長さは5cm、横の長さは10cm、高さは4cmです。
したがって、計算式は、「5×10×4」が正解となります。
「交換法則が成り立つからナンセンス」はナンセンス
数学的には、乗法と加法には交換法則が成り立つので、
どのような順番でかけても問題ありません。
つまり、どうでも良いわけです。
しかし、算数ではそうはいかない。
算数では、公式の通りに、数字を当てはめていくのがセオリーです。
それが、算数の教科的特性らしいです。
ですから、交換法則が成り立つので・・・という主張はナンセンスです。
教科書に書いてある通りに、計算をしていく必要があります。
縦×横×高さと教科書に書いてあるのであれば、
その通りに、数字を当てはめて計算すべきなのです。
そして、計算するときに、順番を入れ替えて、
計算しやすいように計算すれば良いだけの話です。
順番通りとは?
しかし、この問題に関しては、別の切り口が存在します。
その切り口とは、誰が、どうやって、直方体の縦と横と高さを決めるのかです。
普通に考えると、疑問を持たずに、次の図のように当てはめるでしょう。
教科書にもそう書いてあるので、そういうことです。
この状態で、公式に当てはめます。
しかし、次の図のように置いてはいけないのでしょうか?
図2
このように置くと、縦と横と高さが入れ替わり、縦10cm、横5cm、高さ4cmとなり、
式は、10×5×4となります。
さらに、こう置くと、また変わります。
図3
今度は、縦5cm、横4cm、高さ10cmとなります。困りましたね。
さらに、次のように置くこともできます。
それぞれの縦、横、高さの長さは、次のようになります。
|
縦 |
横 |
高さ |
式 |
図1 |
5cm |
10cm |
4cm |
5×10×4 |
図2 |
10cm |
5cm |
4cm |
10×5×4 |
図3 |
5cm |
4cm |
10cm |
5×4×10 |
図4 |
10cm |
4cm |
5cm |
10×4×5 |
図5 |
4cm |
5cm |
10cm |
4×5×10 |
図6 |
4cm |
10cm |
5cm |
4×10×5 |
図1〜6では、全て計算式が違います。
さぁ、どうでしょうか?直方体の置き方を変えると、式が変わります。
教科書どおりの立式です。
そして、どう置くかは、個人の自由ではないでしょうか?
置き方を変えても、体積が変わるわけはありません。
これが、ビルの体積を求めなさいという問題なら話は別ですが、
各辺の長さが数cmの立体模型の体積を求める問題ですから、簡単に置き直せます。
つまり、かける順番は、置き方次第と言うことになります。
こんな問題も出ちゃう
面積の問題になりますが、こんな問題が出ます。
次の図形の面積をもとめなさい。
当然、このままでは、解けませんから、下の図のように右に回すか、左に回すかします。
右回転
左回転
台形になります。
台形の面積の求め方は、(上底+下底)×高さ÷2です。
右回転させると、上底が3cm、左回転させると、上底が5cmになります。
問題を解くとき、どっちが、上底で、どっちが下底なんでしょうか?
そして、どちらが、正解なのでしょうか?
回転させないと解けない問題があるのに、
回転させると減点されると言うのは、どう言い聞かせるのでしょうか?
減点されたら?
さて、減点された結果、この質問を先生にぶつけたら、
どのように返答するのでしょうか?
非常に興味があります。
おそらく、この質問にきちんと答えられる小学校の先生はほとんどいないでしょう。
もし、減点されたら、是非、この切り口で戦ってみてください。
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