第29回 停滞期の過ごし方とブレイクスルー

今回も、前回に引き続き、成績の上昇について。

何度も書きまますが、勉強すれば、成績は上がり、サボれば、下がります。

それ以上でも、それ以下でもありません。簡単です。

しかし、基本はそうでも、そう単純ではないのが人生です。

どんなに、勉強しても、成績が全く変化しない時期があります。
ダイエットでもスポーツでも起こり、それを停滞期と呼ぶと前回お話ししました。

今回は、この停滞期の過ごし方と、その結果起こるブレイクスルーについて考えてみたいと思います。

勉強した期間と成績の関係は、大方、このようなグラフになります。

縦軸にも横軸にも単位も数値もないことがミソです。
要は、人によるし、停滞期の過ごし方にもよるということです。

さて、停滞期とブレイクスルーのメカニズムは、まだよくわかっていないということです。
ですから、ここからは、何の根拠もない、ただの経験に基づく勘のお話であることを予め断っておきます。
と言いましても、ここのコラムは、基本、経験に基づく勘ばかりですが・・・

まず、学習には、大きく分けて2種類あります。
1つは、知識を得ること。そして、1つは、その知識を基に考えて利用すること。

中学校の成績表(通知表)には、観点別評価というものがあって、
国語は5つ、それ以外の教科は4つの観点から、評価します。
そのうち1つは、「意欲・関心・態度」なので、
学習という意味では、3つ(国語は4つ)の観点があることになります。
詳しくは、第3回を読んでいただくとして、理科と数学の4つ観点は、次のようになります。


数学 理科
観点1 数学への関心・意欲・態度 自然事象への関心・意欲・態度
観点2 数学的な見方や考え方 理科学的な思考・表現
観点3 数学的な技能 観察・実験の技能
観点4 数量や図形などについての知識・理解 自然事象についての知識・理解
数学
観点1 数学への関心・意欲・態度
観点2 数学的な見方や考え方
観点3 数学的な技能
観点4 数量や図形などについての知識・理解
理科
観点1 自然事象への関心・意欲・態度
観点2 理科学的な思考・表現
観点3 観察・実験の技能
観点4 自然事象についての知識・理解

この中の知識・理解の部分が、知識を得る、
思考、技能、考え方が後者の知識を基に考えて利用するに該当します。
このように、評価にも表れています。

勉強をすれば、知識を得ることができますが、利用するには、経験が必要です。

知識とは道具

そもそも、知識とは道具です。
課題をに対し、自分の知識という道具を使って、解決するのです。

例えば、図のような三角形の面積を求めたいとします。

三角形の面積の求め方は、底辺×高さ÷2です。
しかし、底辺の長さも、高さも書いていませんので、定規で測ります。

ここまでで必要な知識は、三角形の面積の公式と、長さの測り方です。

さて、高さを測りたいところですが、直角がありません。
そこで、底辺に対して垂線をひかなければいけません。

どうやってひきますか?
ここで必要になる知識が、垂線のひき方です。

方法はいくつかあって、一番簡単なのは、三角定規を使ってひく方法です。
または、コンパスと定規を使って、真面目に垂線をひく方法もあります。

垂線がひけたら、高さを実際に測ります。

これで、面積の公式で必要な数字がそろったので、計算します。

ここまでで必要な知識

  1. 三角形の面積を求める公式
  2. 垂線をひく方法
  3. 長さを測る方法
  4. かけ算と割り算

このように、知識を利用して、課題を解決していきます。

停滞期は、頭の整理期間

しかし、勉強を続けていくと、この道具が非常に多くなっていきます。

三角形の面積の話でも、
2年生では、面積を変えず、直角三角形に作図しなおす方法を習いますし、
高校で三角関数を学習すれば、2辺の長さと角度がわかれば、面積を求めることができます。

このように、道具が増えると、選択肢が増えていくわけです。
イメージとしては、道具箱に道具が増えていくイメージです。

ドライバー、ドリル、ペンチ、ニッパー、鋸と・・・
買い揃えていくイメージです。

最初のうちは、道具が増えていくと、できることが増えて嬉しくなるのですが、
道具箱の中身が増えると、どうなりますか?

なんか、ゴチャゴチャしてきますよね。
道具が増えると、欲しい道具が見つからなかったり、買ったことを忘れたりと、
逆に作業効率が下がったりします。

この道具が増えて、ゴチャゴチャして、作業効率が上がらない状態が、停滞期だと考えています。

道具をただ買えば良いという訳ではありませんが、
無いよりかは、有った方が良いことは間違いありません。

そして、買い揃えた道具を使いこなせるようにならなければ意味がありません。
これには、経験が必要です。

また、単独で使えても意味がありません。
三角形の面積の話だと、垂線をひいた後、長さを測るという組み合わせ技です。

それぞれの道具を整理して、使う手順をしっかり把握しなければいけません。

つまり、停滞期とは、これらの道具の使い方を把握し、
道具を整理し、自分が使いやすいように並び替える期間です。

そして、この整理は、やってみなくては、どう並べればよいかわかりません。
どこにニッパーを置いて、どこに鋸をしまえば良いか。
これは、人によりますので、いろんなパターンを試行錯誤しなければいけません。

そして、ある瞬間、良い感じの道具の片づけ方を発見するのです。
すると、今までとは比べものにならないくらい効率的に作業できるようになるのです。
これが、ブレイクスルーだと考えています。

停滞期はどう過ごす?

ですから、停滞期には、1つは、道具を増やすこと。
そもそも、道具がなければ、整理もなにもありません。

そしてもう1つは、しっかり経験すること。
やってみなければ、しっくりくる道具の整理方法はわかりません。

道具を増やしすぎると、整理できないのではないか?と思うかもしれませんが、
先に整理しても、整理した後、道具が増えては、また、ゴチャゴチャします。
道具を増やすのと、整理するのは、切り離して考えた方が良いです。

やらなければならないことは、知識を増やすことと、そして経験を積むことです。

テスト対策でいえば、

  • 知識を増やすというのは、公式や用語、単語を覚えること。
  • 経験を積むとは、色々な問題を解くこと。

この2つが該当します。
勉強するときに、普段、この2つをしていない人は、いないでしょう。

つまり、成績が上がらないからと、方法を変えるのではなく、そのまま頑張ることが大切です。
ぶれないことです。

グラフで示したように、ブレイクスルーが起こったとき、
上昇する成績は、停滞期に得た知識と経験の量に等しいはずです。
どんなに頑張っても、無い袖は振れませんから。

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