第14回 採択教科書について

来年度(平成28年度)から、中学校の教科書が全面改訂されました。
それに伴い、各学校で使用する教科書会社も、一部変更になりました。
各市町村別の採択教科書の一覧は、次の通りです。


国語 社会 数学 理科 英語
地理 歴史 公民
四国中央市 光村 東書 育鵬 育鵬 啓林 東書 開隆
新居浜市 光村 帝国 育鵬 日文 啓林 東書 開隆
西条市 光村 東書 東書 日文 啓林 東書 東書
今治市 光村 帝国 東書 東書 啓林 学図 教出
上島町 三省 東書 育鵬 育鵬 啓林 東書 教出
松山市 光村 東書 育鵬 日文 啓林 東書 学図
東温市 教出 東書 東書 東書 啓林 東書 開隆
久万高原町 光村 東書 東書 帝国 啓林 東書 開隆
伊予市・伊予郡 光村 帝国 東書 日文 啓林 東書 開隆
大洲市・内子町 光村 東書 東書 東書 啓林 東書 学図
八幡浜市・伊方町 光村 東書 東書 日文 啓林 啓林 三省
西予市 光村 帝国 東書 日文 啓林 東書 学図
宇和島市・北宇和郡 光村 東書 東書 日文 啓林 東書 東書
愛南町 光村 東書 東書 日文 啓林 東書 東書
県立中 三省 東書 育鵬 育鵬 啓林 東書 学図
光村光村図書 主に文系教科の教科書会社。愛媛県では国語で採用されている。
日文日本文教出版 主に社会科の教科書を出版。
育鵬育鵬社 毎回社会の教科書の採択をめぐって世間を騒がす出版社
東書東京書籍 「どんとこい教科書」な出版社。
学図学校図書 5教科のうち、何故か社会の教科書だけ出版していない・・・
開隆開隆堂出版 主に英語の教科書会社。
教出教育出版 5教科全ての教科書を出版。
帝国帝国書院 社会科の教科書会社。社会科の教科書会社でこの名前は怖い・・・
啓林啓林館 理系の教科書会社。
三省三省堂 国語と英語の教科書会社。

教科書会社で何か違うの?

日本には、どの教科にも、教科書が複数あります。
そもそも、日本には、、学習指導要領というものがあるので、
それを基にした教科書は、どの教科書会社にも大きな違いはないのですが、
教科書会社によって、内容に微妙な違いがあるのが実情です。

教科書会社による違いの確認方法は、定期的に行われている教科書展示で行うのが簡単です。
教科書の選定は、毎年行われており、選考時期には、市立図書館等で教科書が展示されています。
その時に見比べてみるのが一番です。

しかし、もう少し簡単なのは、市販されている参考書を見てみると、
参考書内に「○○社では扱っていません。」や、「○○社では「○○」と表します。」などの文章が、
ところどころに見られます。それが、教科書会社による微妙な違いです。

もちろん、教科書が違うから何が違うということもないのですが、
社会(特に歴史)なんかは、毎回、どの教科書が採用されたと、報道を騒がせます。
それだけ、教科書ごとに、微妙に違うことが問題になっている部分もあるということです。

教科書を中学生の人口で考えてみよう

さて、各市町村ごとに公立中学校の採択教科書の一覧が上の表です。
それぞれ、市町村ごとに異なることがわかります。

そして同時に、教科書の採択状況に、少数派、多数派があることが判ります。
この少数派、多数派を人口で考えてみたいと思います。

次の表が、推計ですが、2015年に5〜14歳である人口と愛媛県内での割合です。
国立社会保障・人口問題研究所のHPより引用しました。
5〜14歳という年齢は、この年齢の子が、この教科書に触れることになる年齢だからです。
元データが、5歳刻みなので、こういうデータになっています。

人口(人) 割合(%)
四国中央市 7,383 6.27
新居浜市 10,620 9.03
西条市 9,843 8.37
今治市 12,880 10.95
上島町 379 0.32
松山市 45,120 38.35
東温市 3,189 2.71
久万高原町 503 0.43
伊予市・伊予郡 7,729 6.57
大洲市・内子町 5,088 4.32
八幡浜市・伊方町 3,208 2.73
西予市 2,977 2.53
宇和島市・北宇和郡 7,244 6.16
愛南町 1,500 1.27
117,663 100.00

色々、問題はありそうなデータですが、割合で考えるなら、そこまでの問題は無いでしょう。

このデータをもとに、各教科書を利用する子どもたちの人数をグラフにしてみました。

こうしてみると、より、少数派、多数派が見えてきます。
今治で利用する教科書を赤枠で囲っています。
今治の教科書は、県下全域で同じ教科書を使う数学を除くと、
国語以外の全ての教科書が少数派であるということがわかります。

教科書の違いは問題なの?

ここで、問題にしたいのが、多くの中学生の目標の1つは、高校に進学することであるということです。
高校に進学するためには、入試を勝ち抜かなくてはいけません。

その時、どの教科書で勉強してきたかは、多かれ少なかれ影響してくることでしょう。

入試を作るときに、全ての教科書を参照しているとは、考えにくいです。
実際、本当かどうかわかりませんが、
理科の県立入試は、県内で一番多く使われている東京書籍の教科書を参考にしている
と聞いたことがあります。

つまり、東京書籍の教科書に載っていないことは、県立入試には出ない
しかし、他の教科書に載っていない内容でも、東京書籍の教科書に載っていれば、出題されるかもしれない。
ということです。

実例として、私立ではありますが、ある教科書には載っている内容ですが、
使っている教科書に載っていない内容が出題され、
生徒たちに、「習ってないことが出た」と言われたことがあります。

もちろん、高校入試は、基本的に、同地区の子どもたちが戦うことが多いです。
そういう意味では、特に問題は無いのかもしれません。

しかし、今治の場合、西高をはじめ、西条などから、たくさんの子どもたちが受験しているのも事実。
この時、教科書の違いが、多かれ少なかれ影響していることは、否定できないでしょう。

独自性も必要なのだが・・・

足並みをそろえる必要もないですし、人口の4割を占める松山にならう必要もありません。

教科書の採択決定権は、市町村ごとにあるので、他市町と違っていても問題ないですし、
違っているからこそ面白い。
それぞれの市町の独自性も必要です。

しかし、県立入試という多くの中学生の共通の目標から考えると、
ここまで、少数派の教科書をそろえてくるとに、「・・・・」と思うのも事実です。
特に、「理科」は、気は確かか?と問いたくなります。

いずれにせよ、他地区からの受験生が多い高校を受験する場合は、
教科書だけではなく、参考書等で、他の教科書の記載事項を確認するという作業は、必要かもしれません。

そこで、当塾では、東京書籍の理科の教科書を購入し、指導に活用しています。

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