第67回 親の関心度が成績を左右する?

全国学力・学習状況調査ネタ第5弾です。

今回は、親子(家庭)の関わり方と学力です。

家庭の関わり方と学力

学力・学習状況調査の結果を見ていると、面白い結果が出ています。
それは、家庭の関わり方と学力の関係です。

H29年度の学力・学習状況調査では、次のような質問がされています。

  • 家の人(兄弟姉妹を除く)と学校での出来事について話をしますか
  • 家の人(兄弟姉妹を除く)は、授業参観や運動会などの学校の行事に来ますか
  • 家の人(兄弟姉妹を除く)と将来のことについて話すことがありますか

家の人(兄弟姉妹を除く)と言うことは、つまり、「家庭の大人」ということだと思います。
大人が、きちんと子どもたちに関わっているかを聞いた調査だと考えられます。

昨今の家庭事情から、オブラードにつつんで、家の人となっていますが、要は、親です。

まずは、結果を見てみましょう。

家の人(兄弟姉妹を除く)と学校での出来事について話をしますか
  • している
  • どちらかといえば,している
  • あまりしていない
  • 全くしていない
(H29年 全国学力・学習状況調査 質問用紙より)


小学生


中学生

学校での出来事を家族を話す度合いと正答率(国立教育政策研究所のHPより)

明らかな結果となっています。
家族との会話が、学力を押し上げていることが良くわかります。
特に、「全くしていない」の正答率が極端に低いことがわかります。

家の人(兄弟姉妹を除く)は,授業参観や運動会などの学校の行事に来ますか
  • よく来る
  • 時々来る
  • あまり来ない
  • 全く来ない
(H29年 全国学力・学習状況調査 質問用紙より)

小学生


中学生

家族の学校行事への参加の度合いと正答率(国立教育政策研究所のHPより)

こちらも、明らかな結果となっています。
ただし、「全く来ない」と「あまり来ない」の差が、
中学校では、小学校の差より極端に少なくなっています。
こうやって並べてみると、非常に興味深い結果となっています。

家の人(兄弟姉妹を除く)と将来のことについて話すことがありますか
  • よく話す
  • 時々話す
  • あまり話さない
  • 全く話さない
(H29年 全国学力・学習状況調査 質問用紙より)

小学生


中学生

将来について家族と話す度合いと正答率(国立教育政策研究所のHPより)

他の2つの調査とは、少し違った結果が出ています。
将来について、話しすぎるのは、ストレスになるということでしょうか?
しかし、いずれにしても、話さないが全ての教科で、断トツに低いことが分かります。

以上の結果から、「家庭の大人」がきちんと向き合っている児童・生徒の方が、
学力が高いということがわかります。

家族との関わり方が学力を押し上げる

データを見る限り、親の関わり方が、学力を左右していることは、間違いないようです。

これは、親が向き合っているからこそ、勉強に関しても前向きになれるのだと思います。

経験則ですが、やはり、親に相手にされていない子どもは、自暴自棄の傾向があり、
何をするのにも、後ろ向きであることが多いです。

それは、勉強においてもです。
むしろ、やりたくない勉強は、最初に影響が出るのではないでしょうか?

子どもたちを見ていると、親に相手にされず、
寂しい思いをしている子は、勉強にも身が入っていません。
放任主義と言えば、聞こえはいいかもしれませんが、
口出ししないのと、放置することは違います。

一般に、「片親だと・・・」と思われる傾向があるのは、これだと考えられます。
片親だと、どうしても、親が自分のことで手いっぱいになってしまい、
子どもの相手をできなくなってきてしまいます。
そうすると、必然的に、子どもが自暴自棄になり、上手くいくものもいかなくなってしまいます。

ですから、両親揃っていたとしても、
両親ともが多忙で、子どもと向きあえなければ、同じことになってしまいます。
しかし、どちらの方がリスクが高いかは、考えればわかりますね。
だから、そのように思われてしまうのだと考えられます。

ですから、きちんと子どもに向き合えるかが、ポイントになってくるでしょう。

何をしているかより、どう感じているかが大事?

ちなみに、この質問は、子どもに向けられたものです。
毎日、学校のことを話していても、子どもが満足していなければ、
「どちらかといえば、している」を選ぶでしょうし、
3日に1回くらいでも、満足していれば、「している」を選ぶでしょう。

忙しく、年に数回しか行事に参加できなくても、
それなりに満足していれば、「時々来る」を選ぶでしょうし、
全く満足していなければ、何回か用事で参加できない事があるだけで、
「あまり来ない」を選択するかもしれません。

つまり、この調査は、実際の回数ではなく、子どもたちの満足度の調査であるとも言えます。

家族参観や運動会に参加すれば良いというものではありません。
参加すれば、無関心でも良いわけではありません。
家で、会話をすればそれで良いというわけではありません。

文科省は、「行事の参加」と「家での会話」の2点を指標として考えているようですが、
関わり方は、色々あるはずです。
どう関わるかは、十人十色で良いと思います。

それぞれの事情もあります。

そして、賢い子ほど、大人の事情をよく理解していて、我慢します。
しかし、その我慢に甘えることなく、できることを精一杯することがポイントになるはずです。
だからこそ、できることは限られていても、見守り、関心を持って下さい。

ただ、同じ空間を共にするというだけでも、かまわないと思います。

そして、しっかり見守って、それでも口出ししないことと、無関心は違います。

「自分のことは、自分でする。甘やかさない」という人もいますが、もちろん、間違ってはいません。
しかし、それを無関心の言いわけにはしてはいけません。

体裁のために言っているのか、自分のために言っているのか、子どもは、見抜きます。

忙しいからこそ、人を頼ることも大事

家庭に限らず、大人と関わることは非常に大事です。
それは、家族・親戚に限らずです。

その生き様から何かを学ぶこともあるでしょう。
思いもよらない経験をさせてもらえるかもしれません。意外な知識を得るかもしれません。

子ども達には、子どもたちの世界があるかもしれませんが、放っておいてはいけません。

忙しいからこそ、人を頼りましょう。
おじいちゃん、おばあちゃんの存在は、大きいです。力を借りましょう。

自分だけでできないならば、皆で関わっていきましょう。

お金を使うことも大事です。
忙しいから、毎日、塾に行かせたり、習いごとをさせていたという話も聞きます。
それも1つの選択肢です。

何か、手立ては、あるはずです。
それだけでも、大きく違います。

具体的には?

過干渉という言葉もあります。もちろん、干渉しすぎるのも考えものです。
しかし、親の無関心が、成績を下げることは間違いありません。

S-Labでは、塾の送り迎えを推奨しています。
これは、送り迎えにお父さん、お母さんの大切な時間を使ってもらいたいからです。

自分のために、どれだけの時間を親が使ってくれているのかというのが、
1つのポイントになるのではないでしょうか。

また、中学生になると、子どもも忙しくなります。
中学生がいかに時間が足りていないかは、第63回第64回で、軽く取り上げました。
この塾の行き帰りというのは、時間共有する絶好のチャンスでもあります。

今回は、親の関わり方と、成績に関して考えました。
少なくとも、できることは全部やったと、胸を張って言えるようになって下さい。
まずは、そこからです。

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