第22回 おもちゃが実験装置に


ビーダマン

20年ほど前に、ビーダマンというおもちゃが流行りました。
ビーダマンとは、人形からビー玉を発射するおもちゃで、
その関連商品として、あるおもちゃが発売されました。

その名も「ビースピ

ビースピは、ビーダマンから発射されたビー玉の速さを測るおもちゃです。
ビー玉スピード(速さ)を測るので、「ビースピ」です。

 
発売当初のビースピ(塾所蔵)

ビーダマンだけでは、パンチが弱いと思ったのか、
同じく当時はやっていたミニ四駆チョロQとも抱き合わせ、
これらのスピードも測れるようにして発売されました。
それぞれのロゴがビースピ上部に印刷されているのは、そのためです。
当時、第2次ミニ四駆ブームで、ニュースでも、その熱狂ぶりが紹介されるほど。
ミニ四駆を抱き合わせたのは正解だと思います。

  
第2次ミニ四駆ブームを牽引したアニメとミニ四駆

当時、ミニ四駆の速度を測るキットは無かったので、ビースピの登場は、画期的でした。
ビースピ発売後、タミヤが慌ててミニ四駆専用のスピードメーターを発売したのは、
印象に残っています。


仕組は、いたってシンプルです。
真ん中の溝に2つのセンサーがついていて、この2つのセンサーを通過した時間差で速度を求めます。


矢印のところにセンサーがついている

  


矢印の方向へ侵入してきたものの速度を測る

速さは、
速さ(km/h)=距離(km)÷時間(h)
の式で求められます。

2つのセンサーは固定されているので、その距離は決っています。
その間を何秒で通過したか分かれば、上の式に入れて、計算できます。

さて、そんなおもちゃのビースピですが、
要は、真ん中の溝を通過したものの速さを求める装置なので、応用力は無限です。
ビー玉の速さを調べるためだけの装置にするのは、もったいないです。


理科教材の最新型ビースピ


今では、理科の教科書に、実験器具として載っています。
今や、ビースピの無い学校は無いのではないかという勢いです。
中学校の教科書だと、3年の力学的エネルギーの保存のところで出てきます。


ビースピを利用する実験 衝突実験機

このように、おもちゃも20年たつと、教科書に載っている立派な実験装置(教材)になります。
おもちゃ屋さんは、理科教材の宝庫でもあります。

そもそも、理科は、遊びの延長にあります。
もちろん、やらなければいけないことは、やらなければいけません。
しかし、それが終われば、しっかり遊ぶことも成績アップのポイントです。
遊びの中で、「なんで?なんでどす?」と思い、考え、調べ、
そりゃ、びっくりポンや」と思うことが、理科の基本です。

ところで、玩具時代のビースピを購入することができるようです。20年物だと思いますが。


発売当初のビースピ



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