「あの証明は美しくない」
直木賞をとった、東野圭吾の「容疑者Xの献身」の一節です。
月9でも高視聴率を叩き出した、福山雅治主演の「ガリレオ」の
原作「探偵ガリレオシリーズ」の長編第1作です。
ガリレオは、映画化も2度されており、この「容疑者X…」は、
同題で、映画第1作として、公開されています。
容疑者Xの献身
東野圭吾さんは、理系出身のミステリー作家として有名で、
もちろん当塾でも、一目を置いています。
自習室には読み物として、探偵ガリレオシリーズはもちろん、
多数の東野作品を所蔵しています。
さて、「あの証明は美しくない」は、天才物理学者・ガリレオこと湯川学(福山雅治演)に
「本当の天才と呼べる男は石神だけだ」と言わせた石神哲哉(堤真一演)のセリフです。
劇中、天才数学者の石神は4色問題の証明に対して、「美しくない」と表現し、
もっと美しい証明を求め、取り組んでいる様が描かれています。
実際、4色問題の証明は、美しくないと言われているようで、
ちょっと検索してみると、色々な話が多数でてきます。
しかし、私たち凡人がこの「美しくない」というセリフをすんなり受け入れることが出来るわけもなく、
数学者の美的感覚について気になってくるわけです。
ところで、この4色問題の「美しくない」というのは、証明のしかたの話だそうで、
コンピューターを使って、ありとあらゆるパターンを全て潰して、証明したものだそうです。
もちろん、スマートさに欠け、複雑怪奇で分かりにくく、長い。
私たちのような凡人はもとより、天才数学者たちでも理解しがたい内容だそうです。
まぁ、その何というか、少なくとも、カッコよくはないという話です。
それの何がいけないの?と言う話になるんですが、
それを、石神は、「美しくない」と表現したんですね。
つまり、数学者っていうのは、「美しさ(カッコよさ)」を求めるも人種であるということなんです。
ゆえに、ナルシスト。
したがって、数学という学問は、美しさやカッコよさを求める学問なんです。ナルシストな学問。
実は、こんな先入観をもって教科書を読んでみると、色々理解しやすい記述が見え隠れします。
例えば、1年生の文字の式の単元
文字式を書くときのルールに、アルファベット順に並べるといものがあります。
そもそも、式には意味があるので、アルファベット順に並べるというのは、本来間違いです。
みかんが5個入った箱が6箱あります。みかんは何個ありますか?
解答 5(個)×6(箱)=30(個)
これが、小学校の考え方です。これを中学生風に書きなおすと、
みかんがb個入った箱がa箱あります。みかんは何個ありますか?
解答 b(個)×a(箱)=ba(個)
と表すのが、中学生風小学生流です。
しかし、この問題、ba個と書くと、もちろん間違い。
でも、正直、どっちでも良くないですか?というか、
小学校で習ったことはなんだったの?って話になりせん?
もっと言えば、baの方が、現実をよく表していると思いませんか?
そこで出てくるのが、数学は美しさを求める学問であるということ。
実用的とか、効率的とか、そんなことよりも、
美しさを求めるナルシスト集団であると思って読んでみます。
「ba」と「ab」を比べてみて下さい。
おそらく、99.9%の人が、abの方が整って見えると答えると思います。
3年生の教科書にもあります。
ある数aを、ある数bの平方根で割りました。
これを式で表すと、となりますが、これは×になる・・・
理由は、有利化していないから。
これも、正直どうでもいいし、むしろ、の方が、意味はよく表しています。
しかし、これも有利化してとしてやらなければいけない。
理由は、こっちの方が美しいから。
結局のところ、「どっちでも良いじゃん」と思うけど、
はねられた時は、自分の回答と模範解答の両方を見せて、「どっちが整ってる?」とか、
「どっちが美しい?」なんて周りの人に聞いてみて下さい。
きっと、8〜9割の人は、模範回答の方がが美しいと答えます。
このとき、効率や実用性などは考えても無駄です。美しさのみです。
結論
数学とは、美しさを求める学問。もちろん、中学生にも押しつけてきます。
数学の先生はナルシストだと思って、あきらめて対応しましょう。
ナルシストには、何を言っても無駄です。効率とか実用性とかとは無縁の生き物です。(笑)
だって、おしゃれに効率を求める人少ないでしょ?
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