第1回 換気扇のお掃除実験

自由研究に使えそうな、実践実験を紹介します。
今回は、ママも必見!?換気扇のお掃除実験です。

アルコールには、油を溶かす性質があります。
この性質を利用すれば、換気扇の油汚れもイチコロという実験です。

やってみよう!

まずは、それなりに汚れた換気扇。



これに、数年前にもらった消毒用アルコールをかけてみます。
冬場、インフルエンザ対策で、いろんなところで活躍しているアレです。


この消毒用アルコールは、約80vol%の消毒薬です。
つまり、体積比で80%がエタノールの水溶液になります。
ちなみにお酒でいうと、80度です。


せっかくなので、洗剤とも比べてみました。


消毒用アルコールをかける


軽く拭き取る



洗剤をかける


軽く拭き取る


汚れがそこまでではなかったので、違いがあまりわかりませんが、
アルコールは、かけただけで変化が見られました。

軽く拭き取ってみると、アルコールは、綺麗に汚れが取れましたが、
洗剤は、若干、汚れが残りました。


アルコールをかけずに、ティッシュに垂らして拭くというのもいうのもあり。
でも、すぐに破れるので、ウェットティッシュがお勧めです。
この時、アルコール配合のものを使うと、良いかも。


ふた部分Befor


after

洗剤でこすってもびくともしない汚れも、アルコールなら、綺麗になります。

解説

さて、メカニズムです。
細かい話は、ややこしくなるので省略しますが、
簡単に言うと、洗剤は、油を水に溶けるようにするもの
アルコールは、油を溶かし込むもの
であると言うことだと思います。

アルコールは、直接、油を溶かし込みます。

ものが溶けるイメージは、下の図のようなイメージです。


が溶かすもの粒子(アルコール)、
が溶けるものの粒子(油)を
表しています。


溶けるものの粒子の間に、
溶かすものの粒子が入り込んでいく



がなくなったところに、
またが入り込んでいく。


どんどん、をバラバラにしていく。


その油汚れが溶け込んだアルコールを拭き取れば、汚れが綺麗になります。
アルコールは、1ステップで拭き取れる状態になります。


しかし、洗剤は、洗剤の成分が油に油の粒子にくっつくことにより、水に溶けることができるようになります。


が油の粒子
が洗剤の粒子


油の粒子の周りに
洗剤の粒子がくっつく。


この油と洗剤がくっついたものを水に溶かすことによって、洗い流します。
つまり、洗剤と水、その両方がそろって、初めて、汚れを除去できます。
洗剤は、2ステップで拭き取れる状態になります。

もっと、掘り込むと、アルコールにより溶け込むと、溶け込んだ油の成分は、
そのままアルコールの中に移動して、バラバラになっていきます。
それに対し、洗剤が油を水に溶けるようにしても、それが溶け込んでバラバラになるには時間がかかるし、
そもそも水がなければ、溶けない。

洗剤は、油の粒子の周りに、洗剤の粒子がくっつくので、粒子が大きくなる
アルコールは、直接油を溶かし込むため、粒子が小さくなる
粒子が小さいほうが、溶液中を移動しやすい

なんてことも考えられます。

さらに、アルコールの有利な点は、蒸発すると何も残らないこと。
拭き忘れたり、洗い残しがあっても、安心です。
そしてなにより、アルコールも手は荒れるんですが、
それでも、手に塗るために作られたものですから、
洗剤よりかは、安心して使えます。
口に入っても、アルコール自体は、飲むものですから少しくらいなら安心です。

自由研究への発展

  • 消毒用アルコール、酒などを使って、サラダ油や肉を炒めた時に残る油を溶かしてみる。
  • 換気扇の掃除のとき、アルコールのvol%の違うもので羽ごとに掃除し、汚れの取れかたを比較する。
  • ・身近なアルコール探して、色々なものを掃除してみる。

注意点

  • アルコール(揮発油)での洗浄を制限しているものは、意外と多いです。
    説明書をよく読んで、自己責任で実験(清掃)を行ってください。
  • アルコールは、引火しやすいので、取り扱いには、十分に注意してください。

実験に使えそうな商品

実際に試したわけではありません。購入に関する苦情は受けかねますので、よく検討して購入してください。
アルコール成分76.9〜81.4 vol%の一般的な消毒液。
ジェル状になっているのようなので、掃除したいところにかけても、
その場にドロッと留まるので、掃除に便利?
アルコール分77%の噴霧できるタイプのアルコール消毒液。
食品にも直接噴霧できるそうで、掃除にはピッタリ?
アルコール配合のウェットティッシュ。
使い方次第ですが、油汚れには、効きます。
アルコール度数96度(96vol%)のウォッカです。
一般的な消毒液より強烈です。掃除にはもったいない?

用語解説

アルコール 一般的には、アルコールと言えばエタノールを指します。
学校の実験でも使うエタノールを、実生活ではアルコールと呼びます。
そして、実験で使うアルコールランプの中身は、エタノールではないことが多いです。
vol% 濃度の表し方。中学校で習う質量パーセント濃度や、重量パーセント濃度、
高校で習うモル濃度とは違う濃度の表し方。
質量パーセント濃度、重量パーセント濃度が、質量(重量)に対する割合を表すのに対して、
vol%は、体積で濃度を表します。
70vol%の水溶液とは、水溶液100mlに対して、アルコールが70ml入っているということになります。
水溶液 水にある物質を溶かし込んだもの。
水以外の物質、たとえば、エタノールに油を溶かし込むと、水溶液ではなく、溶液と表現します。
今回は、水とエタノールを混ぜているので、エタノールの水溶液と表現しています。

ちなみに、こういう、身近で実用的な自由研究は、評価が高いです。



  

Home